(21日、第107回全国高校野球選手権大阪大会4回戦 履正社6―0香里丘) 履正社が、磨いた「足」で一気に流れをつかん…
(21日、第107回全国高校野球選手権大阪大会4回戦 履正社6―0香里丘)
履正社が、磨いた「足」で一気に流れをつかんだ。
相手の好右腕から決定的な打開策を見つけられないまま迎えた七回だ。先頭の矢野塁(3年)が四球で出塁すると、大きなリードで揺さぶってから2球目に盗塁を決めた。
「走者を警戒すると、(球は)甘くなってくる。それが僕の仕事」
続く辻琉沙(3年)も四球を選び、犠打で1死二、三塁に。4番打者の福原大葵(3年)が捉えた打球は逆方向へと伸びていき、左翼手を越える二塁打で2点を奪った。
ここで終わらない。外野手が返球にもたついている様子を、走塁する福原は「しっかり見えていた」。体重90キロの巨体で、一気に三塁まで到達した。
ベンチプレスを120キロ持ち上げる強打者は「坂道ダッシュを繰り返して、スピードを頑張って上げました」とにんまり。後続のスクイズで、さらに加点した。
2019年、夏の甲子園で初優勝した履正社は長打力が武器だった。計6試合で盗塁はゼロ。だが、以降は甲子園に出られない期間が続いた。多田晃監督は激戦区の大阪を勝ち上がるため、機動力アップに着手した。
実戦形式の練習から走者を置き、ときには選手間で意見を出し合って走塁意識を高めた。福原は「送球のミスをしっかり見よう、とみんなで徹底してきた練習が生きた」。
多田監督は「(福原は)あの体形の中ではそこそこ速い」と笑い、「次の塁を狙うのは難しくて、無駄なアウトになることもある。どう(相手の様子を)見分けていくか、ということをよく言っているが、今日はよく見ていた」とたたえた。
昨秋の府大会決勝で、大阪桐蔭を破って優勝した。履正社は選抜出場校の有力候補に挙げられていたが、近畿大会1回戦で敗戦。結果的に、大阪勢は98年ぶりに選抜出場が途絶えた。「大阪が弱くなった」という声は、選手たちの耳に嫌でも入ってくる。
「勝たないといけないプレッシャーもあるけど、それに負けないほど練習している」と福原は言う。
まずは2年ぶりに大阪の頂点に立ち、甲子園で「強い大阪代表」を見せつけるつもりだ。=GOSANDO南港(室田賢)