<全国高校野球選手権大会東東京大会:桜美林8-6国立(延長10回タイブレーク)>◇20日◇4回戦◇S&D昭島スタジアム …

<全国高校野球選手権大会東東京大会:桜美林8-6国立(延長10回タイブレーク)>◇20日◇4回戦◇S&D昭島スタジアム

 試合後、桜美林の津野 裕幸監督は、「びっくりさせられるチームです。諦めず、最後まで戦った。相手も強かった」と声を詰まらせて語った。1976年夏、西東京代表として甲子園初出場して全国制覇を果たした桜美林と、80年の夏、都立校として初の甲子園出場を果たした国立という伝統校の対戦は、猛暑の中、両チームが死力を尽くした激しい戦いになった。

 激戦の除幕になったのは、1回裏国立の1番、背番号は1ながら、中堅手として出場している渡邉 直樹(3年)が粘った末に放った中前安打だった。「ショートが三遊間に寄っている。センターに打ち返せる球を待っていました」と渡邉 直樹は語る。国立はこの回、4番・青柳 雄人捕手(3年)の二塁打などで2点を挙げる。

 しかし桜美林もすぐに反撃し、追いつ追われつの展開になり、5回が終了した時点で国立が6-4と2点をリードする。

 6回以降は、国立は先発の松尾 周(3年)が走者を出しながらも踏ん張り、桜美林は4回途中から登板したエースの沼田 優杜(3年)が、5回に失点したものの、6回以降は失点がなく、膠着状態になった。

 しかし1人で投げている松尾には、次第に疲労が感じられるようになっていた。けれども背番号1の渡邉 直樹は、「肩を痛め、注射を打っていました。それに足も吊って満身創痍でした」と語る。そのため、松尾をそう簡単には代えられない状況にあった。

 そして9回表、桜美林は1番・五石 一真外野手(3年)、2番・増田 篤暉内野手(3年)の連続二塁打で1点差に迫る。そして一死一、三塁となり、代打に背番号20の惣塚 翔大外野手(3年)を送る。津野監督は惣塚について、「惣塚なくして、うちのチームはない。チームを鼓舞して、諦めないムードを作ってくれました」と語る。惣塚は、秋はベンチ入りしたものの、春のメンバーからは外れた。そして夏は背番号20でベンチ入りした。「選んでくれた感謝の気持ち。ベンチに入らない人の分も、声だけは出し続けてきました」と惣塚は言う。

 そんな惣塚の打席であったが、初球の空振りで、打つのは難しいのではないかという空気が、スタンドに漂った。しかし4球目、必死に食らいついた打球は、一塁手の後方に上がり、右翼手の前に落ちる適時打となり、桜美林が同点に追いついた。

 惣塚の執念の一打で同点に追いついた桜美林は、タイブレークとなった10回表に、8番・福島 悠司内野手(3年)の2点適時打で勝ち越し、10回裏はエースの沼田が無失点に抑えて、桜美林が激戦を制した。

 桜美林は2回戦も3回戦も1点差で苦しみながら勝ってきた。そしてタイブレークでの勝利でチームに勢いが出てきた。5回戦は22日に早稲田実と対戦する。

 一方国立の渡邉 直樹は、「甲子園という目標があったので悔しいです」と語る。けれども、低迷していた時期もあったが、また「都立の星」であった国立が戻ってきたと感じさせる戦いであった。