(20日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会4回戦 東播磨0―1滝川二) 最後のアウトのコールが、「夢の時間」の終わ…
(20日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会4回戦 東播磨0―1滝川二)
最後のアウトのコールが、「夢の時間」の終わりを告げた。
東播磨の福村泰輝主将(3年)は、目に涙を浮かべていた。父と過ごした3年間を思い出していた。
父は、甲子園で3度采配を振るった福村順一監督だ。いまは東播磨の監督をしている。「父と一緒に野球をやること」が、自分の夢だった。
東播磨に入学し、父を「福村先生」と呼ぶようになった。グラウンドではいちばん怒られた、と思う。
下級生の頃からレギュラーとして試合に出場した。一方で、「おまえは息子だから」と言われたこともあり、ショックだった。家で泣いた。
「何をしても息子だからと言われる。だからこそ、いちばん練習をする」。朝早くからグラウンドに出て整備をした。ノックも、人よりも多く球をうけてきた。
この日は劣勢だった。1点を追う八回裏2死走者なし。打席に向かう前に、監督から声をかけられた。「おまえが出たら、絶対に点が取れるから。打ってこい」
仲間からも「悩むな!」と声が飛んだ。2ストライクに追い込まれた3球目、内角高めの直球を振り切った。打球は左翼手に一度捕球されたが、グラブからこぼれ落ち、二塁打となった。ただ後続が続かなかった。
試合後、福村主将は「僕の力不足で、父を甲子園に連れて行けなかった」と目を腫らした。
「明日も一緒に家から練習に行くことを想像するくらい、負けた実感がわかないし、寂しい。けど、自分の力を精いっぱい出すことができた。父との高校野球生活をやりきれた気持ちです」
福村監督は「主将としてチームを引っ張ってくれた。負けたのは私の責任」。そして、つぶやいた。「やっと普通の親子にもどれるんじゃないかな」(原晟也)