(第107回全国高校野球選手権三重大会 宇治山田商9―2相可) 最後まで、相可には笑顔があった。 七回、2失点した直後…

 (第107回全国高校野球選手権三重大会 宇治山田商9―2相可)

 最後まで、相可には笑顔があった。

 七回、2失点した直後、相可の選手たちがマウンドに集まった。六回の途中で降板した中瀬翔陽投手(3年)が伝令に走り、「どっしりと構えていれば絶対勝てる」と笑顔で鼓舞した。

 エースとして先発した中瀬投手は初回から3失点。それでも、マウンドで時折笑みを浮かべた。宇治山田商の打者は、中学時代から活躍していた同学年の選手たち。高校入学当初は、強豪校でプレーする彼らと対戦する機会はないと考えていた。それが、強打者と渡り合えている。この2年半の成長を感じた、充実の笑みだった。

 負けていても、勝っているような明るい雰囲気を――。「笑顔」は、今春から監督に就任した辻宏樹監督が大切にしていることでもある。7年前に白山の主将として夏の甲子園出場を果たした元「下克上球児」の思いは、チームに浸透した。

 宇治山田商にはこれまで公式戦で2連敗し、中瀬投手も「下克上するしかない」と今日の試合に挑んだ。6失点したものの六回の途中まで粘投した。打者としては、五回にチーム初安打でもり立てた。

 2004年以来の8強には届かなかった。「負けたら泣き崩れるかなと思っていた」。だが、試合終了後、整列に向かう中瀬投手の表情は晴れやかだった。(鎌形祐花)