(20日、第107回全国高校野球選手権東東京大会5回戦、淑徳7―4二松学舎大付) 二松学舎大付の市原勝人監督が動いた。 …

(20日、第107回全国高校野球選手権東東京大会5回戦、淑徳7―4二松学舎大付)

 二松学舎大付の市原勝人監督が動いた。

 2点を追う五回裏2死。打席には4番を打つ2年生。「精神的にも平常心じゃないような顔をしていた。精神的支柱のキャプテンなら、何とかしてくれるかな、と」。1ボール2ストライクから、代打に主将の日笠雅凰(3年)を送った。

 直前、日笠は監督から追い込まれたらいくぞ、と言われていた。「信頼して出してくれた。何とかしなきゃ」。打席途中で代打で出たのは初めて。結果は、1球で空振り三振。それでも、流れを変えようとする監督の気迫に応え、チームは六回に同点に追いついた。

 市原監督はいう。「追いついたまではいい。しっかり守れていればいいリズムになったのに、自ら手放してしまった」。直後の七回表の守り。フライを落とすミスで勝ち越し点を献上。八回にも守備の乱れから追加点を許した。「いいところもあれば、悪いところもあった。悪いところが多くでた分、負けた。負ける時は、そういうもん」。2点差以上をつけられて先行され、焦りもあった。「追いついて、ほっとしてしまった」と日笠。気持ちのゆるみが、ほころびとして出てしまった。

 昨秋の都大会で優勝。今春の選抜で1勝した達成感が出て、モチベーションが上がらない。いいチームにしようと、意見を言い合って、何度もぶつかった。全員を同じ気持ちに向けさせるのが、これほど難しいとは――。でも、いざ始まってからは、試合に勝つたびに、集中力も、気持ちも上がっていた。「秋はみんな、楽しんで野球をしているように見えた。今はまたその時にだんだん戻ってきて、楽しくて。もっと、みんなと試合をやりたいと思っていたのに」。背番号「10」の主将は、声を震わせた。=大田(野田枝里子)