(20日、第107回全国高校野球選手権静岡大会3回戦 東海大静岡翔洋4―3常葉大橘) 八回表、常葉大橘の攻撃が三者凡退…
(20日、第107回全国高校野球選手権静岡大会3回戦 東海大静岡翔洋4―3常葉大橘)
八回表、常葉大橘の攻撃が三者凡退で終わると主将で捕手の磯谷怜皇(れお)選手(3年)には、東海大静岡翔洋スタンドの声援が一段と大きく聞こえた。
2点リードで迎える八回裏。ひょっとしたら、相手に流れが傾くかもしれない。嫌な予感を打ち消そうと、八回裏の守備を前にベンチで仲間に伝えた。「先頭を絶対に打ち取ろう」
しかし、先頭打者に二塁打を許した。次打者にはバントをうまく転がされ無死一、三塁のピンチに。正捕手を任され、4点のリードから逆転負けした昨夏の4回戦が頭をよぎった。
磯谷主将は、マウンドに集まった仲間と確認した。「三塁ランナーは無視、同点OKだぞ」。秋山創大(そうた)投手(3年)には「集大成だぞ」と声をかけた。だが、言葉とは裏腹に「自分が焦ってしまった」。1死をとった後、盗塁を刺そうと二塁に投じた球が浮いて外野に転がり、三塁走者がかえって1点差に。さらに安打2本を許し、逆転された。
打たれたのはいずれも直球。秋山投手の投球は要求した通りのベストボールだった。むしろ、「自分が雰囲気にのまれた」。磯谷主将は配球や間のとり方に工夫が足りなかったことを悔やんだ。
「楽しく、ピンチの時こそ笑顔で」。捕手として、主将として、試合に臨む心構えを先輩たちから受け継いだ。逆転負けを喫し、チームメートは泣き崩れた。磯谷主将はこう振り返った。「マウンドの秋山(投手)の笑顔が見えた。負けたけど、ベンチの雰囲気も今までで一番良かったし、これ以上ない試合だったと思う」(斉藤智子)