プロ野球は前半戦が21日に終わります。今年、セ・リーグ最下位のヤクルトは投打ともに低調ですが、その中でも台頭を見せている…

プロ野球は前半戦が21日に終わります。今年、セ・リーグ最下位のヤクルトは投打ともに低調ですが、その中でも台頭を見せている選手がいます。今年9年目の増田 珠外野手です。

 今季は48試合出場で、1本塁打、9打点、打率.253、OPS.697と、昨季の53試合出場を上回るペースで出場機会を与えられ、キャリアハイの成績を残そうとしています。横浜時代は2度の甲子園に出場して、U-18代表も経験しました。走攻守三拍子揃い、高校通算33本塁打を記録。2017年の高校生を代表する外野手でした。横浜高の野手では万波中正選手(日本ハム)がプロの世界で活躍していますが、万波選手は高校時代、伸び悩む時期が長く、最後の夏もギリギリでベンチ入り。一方で増田選手は1年夏から最後の夏まで高打率と本塁打量産を実現し、傑出度では、増田選手を超える選手は今でもなかなか現れません。

 少しずつではありますが、高校時代から期待されたパフォーマンスを発揮しつつある増田選手について迫っていきたいと思います。

下級生から圧倒的な活躍!大事にしていたのは自分のイメージを体現すること

 増田選手は中学3年生だった14年に侍ジャパンU-15代表を経験。投手兼任外野手で、投げては140キロ、打者としてもコンタクト力の高い強打者として注目を集めました。国際大会では、4番打者を任されます。

 多くの強豪校から誘いがある中、日本一を目指し、横浜へ進学します。1年春の県大会からベンチ入りしますが、まだ当時はそれほど目立つ当たりはありませんでした。しかし、1年夏になると、高校野球の環境に慣れて、類まれな才能を発揮します。

 15年の神奈川大会では、準々決勝の横浜隼人戦で勝ち越しとなる適時三塁打、準決勝の桐光学園戦でも同点本塁打を放ち、惜しくも決勝で東海大相模戦で敗れるも、8試合で29打数11安打、打率.379と文句無しのデビューを飾りました。

 ただその後、手首の故障もあり、思うようなパフォーマンスができませんでしたが、2年夏(16年)の大会前に復帰。大会前の練習試合では右中間へ本塁打を放ち、良い状態で大会に臨みました。そして甲子園出場をかけた慶応との決勝戦では先制2ランと3ランホームランを放ち、計5打点の活躍。この年の横浜は楽天に進んだエース・藤平尚真投手が注目されていましたが、決勝戦では主役と呼べる活躍を見せ、甲子園出場に貢献しました。

 甲子園では2試合で8打数4安打を記録。神奈川大会、甲子園での活躍により、17年のドラフトでは上位候補に挙がる存在に上がっていました。

 2年秋になると別格ともいえる成績を残します。県大会では34打数15安打、2本塁打、10打点を記録。特に相洋との4回戦で見せたバックスクリーン左へ本塁打は強烈でした。ライナー性で左中間に抜けると思った打球がそのままスタンドインしたのです。長打力、ミート力ともに文句無し。いつでもヒットが出る状態でした。

 さらにセンターの守備も高レベルで外野陣をまとめており、攻守ともにスキのない選手でした。

 ドラフト前にインタビューした際には、自分が考えている動きを再現することにこだわっていました。

「自分がイメージしていることを体現するということが大事だと思っています。ただ大体の人はそれができないことが多い。でも、自分はそれを体現できるよう、野球だけではなく、いろいろな動作で意識してきました。例えば体幹トレーニングでも先生がやっている通りに同じような姿勢をとることが大事なことだと思ってます」

今シーズンから安打を量産する姿を見たい

高校時代の増田

3年夏には25打数15安打、5本塁打、11打点の活躍で、2年連続夏の甲子園出場に貢献。公式戦での本塁打は通算13本、夏の神奈川大会通算37安打と、最後の夏でもしっかりと成績を残した増田選手はプロ志望届を提出し、ソフトバンクから3位指名を受けました。

 ドラフト前には、当時のプロ野球界のトッププレイヤーの名前を挙げながら、目標とする選手像を語ってくれました。

「走攻守三拍子揃った面では、山田 哲人選手、打撃技術では内川 聖一選手、ハートの強さでは松田宣浩選手がいると思うんですけど、そういういい所が全部混ざったハイブリッドな選手になりたい」

 しかし、プロの世界では思い通りの打撃ができません。ソフトバンク6年間では、通算52試合で、22安打、2本塁打、9打点という成績に終わり、23年オフに戦力外通告を受けます。それでもヤクルトと契約を交わし、移籍後からチャンスを増やします。

 1年目は52試合出場で、打率.207、2本塁打、6打点とキャリアハイの成績。シーズン100打席以上もプロ入り後最多で、25年シーズンにつながる活躍となりました。

 さらに今年は成績を伸ばしており、まだ不動のレギュラーというわけではありませんが、広角に長打が打てる姿は高校時代を思い出させます。

 ムードメーカーとして存在感を示していますが、ここ1年、コンタクト力の高い打撃を発揮しつつあり、さらに出場機会を増やせば、打撃成績を残すのではないかと思います。

 増田選手ほどのコンタクト力が高い選手でも結果を残すには時間がかかっており、プロの世界は本当に険しい世界だと実感します。まだ26歳で、過去を振り返れば、20代後半から全盛期を迎える選手は多くいます。後半戦以降は一つの活躍を足がかりにレギュラー定着となるか。

 ぜひヒットを量産する姿をまた見せてほしいと思います。