自己最多のホームランを放った佐藤。首位を走るチームをけん引するアーチストの存在感は増すばかりだ(C)Getty Imag…

自己最多のホームランを放った佐藤。首位を走るチームをけん引するアーチストの存在感は増すばかりだ(C)Getty Images

 手に汗握る投手戦の均衡を破ったのは、覚醒を遂げた大砲の一発だった。

 7月19日に敵地・東京ドームで行われた巨人戦で、セ・リーグ首位をひた走る阪神は4-0と勝利。2位とのゲーム差を10に広げ、独走状態を保った。

【動画】これぞ4番のアーチ 佐藤輝明の確信2ランをチェック

 均衡が破れたのは、互いに決め手を欠き、0-0で推移した11回表だった。1死一塁で打席に立った阪神の佐藤輝明が、相手右腕の船迫大雅が内角に投じた130キロのカットボールを、完璧に捉えた。本人が確信めいて見送り、打たれた船迫がガクッとうなだれた打球は、右中間席の深部に叩き込まれる先制2ランとなった。

 藤川球児体制の阪神を力強くけん引する今季の佐藤は、どうにも快進撃が止まらない。この巨人戦での一発で、21年の新人年に記録した自身最多タイの本塁打数(24)を更新。年間のペースでも41となり、阪神の左打者では2010年のクレイグ・ブラゼル氏以来となる40号超えも射程圏にしている。

 存在感は日々増している。三振数(99)は12球団の規定打席を超えた打者で最多と、相変わらずの粗さは否めない。それでも打率は.287にまで上昇。OPSも.952とハイアベレージをマークしており、かつて元ヤンキースの松井秀喜氏から「今の打ち方だったら何回やっても打てない」と断じられた姿はない。

 チームの勢いが加速する7月に限定しても佐藤の活躍ぶりは顕著。打率.327、5本塁打、長打率.673、OPS1.088と、多くの得点に関与。まさに4番としての役割を全うしている。

 23年で言えば大山悠輔が、2005年で言えば金本知憲が、さらに遡って1986年には掛布雅之が、「強い」とされる阪神には常にどっしりと居座る4番がいる。いまや多くの虎党から「過小評価されてる」とも称えられる佐藤は、レジェンドたちに比肩する存在と言っていいはずだ。

「この時期にそれ(キャリアハイの25号)を達成できるのは自分でもよくやってると思う」

 ヒーローインタビューで堂々と答える姿はなんとも頼もしい。

 昨季まではシーズン半ばでの2軍降格など多くの挫折を味わった。そうした経験を糧に、ようやく覚醒を遂げた26歳の和製大砲から目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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