(19日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会準決勝 札幌日大3―2札幌大谷) 札幌大谷のエース、岩渕英晃投手(3年…
(19日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会準決勝 札幌日大3―2札幌大谷)
札幌大谷のエース、岩渕英晃投手(3年)は、よくほえる。
七回裏2死一塁、勝ち越しのランナーを背負い3番打者の窪田洋祐選手(3年)を迎えた。決め球のフォークで空振り三振にしとめ、マウンド上でガッツポーズをしながら、この日一番の雄たけびを上げた。
雄たけびは兄ゆずりだ。2学年上の兄、正晃さんは立命館慶祥で140キロ超の直球が武器の投手だった。道内の医学部に進学した正晃さんを「何をやってもすごいんで」と尊敬する。自分は兄ほどの球速は出せないと悩み、たどり着いたのがフォークボール。直球のような軌道から、打者の手前で急降下する変化球だ。「フォークを投げる高校生は少ない。初見で球が落ちたらびっくりするんじゃないかな」
フォークは人さし指と中指でボールを挟んで投げる。2年の冬はボールを挟む「指力」を鍛えた。砂の入った重くて軟らかいトレーニング用ボールを握り込んだり、5キロのダンベルを指でつまんだり。時間があれば指に球を挟み、精度に磨きをかけた。
試合は八回に勝ち越しを許した。「相手が上手だった」と岩渕投手。敗れはしたが、兄が立てなかったエスコンフィールド北海道のマウンドで7三振を奪い、「少しは兄に近づけたかな」と話した。(朽木誠一郎)