(19日、第107回全国高校野球選手権三重大会3回戦 津田学園10―0近大高専=5回コールド) 1時間16分で終わった…

 (19日、第107回全国高校野球選手権三重大会3回戦 津田学園10―0近大高専=5回コールド)

 1時間16分で終わった「最後の試合」は、一回の守りが全てだった。近大高専の先発は、今大会初登板の武内義樹投手(3年)。武内投手の球威で前半を抑え、エースの野村哲平投手(3年)に継投する戦術だった。

 武内投手の初球は149キロ。津田学園の先頭打者を三振に打ち取り、順調な滑り出しに見えた。ところが、次の打者に四球を与えて崩れ始め、3長短打などで3点を取られ、なお1死満塁で野村投手に交代。だが、この回さらに走者一掃の適時二塁打などで4点を失い、勝負が決まった。

 二枚看板の右腕として、競い合ってきた。先に頭角を現したのは武内投手だった。昨夏、準々決勝で敗れたものの、優勝した菰野相手に先発して好投し、秋の新チームで背番号1をつけた。一方の野村投手は、多彩な変化球と制球が持ち味。安定した投球を続け、今春から背番号1に変わった。

 この試合、「六回ごろからか」と考えていた野村投手は、一回途中からマウンドへ上がり、後続を抑えきれなかった。「気持ちの準備ができないまま、相手の勢いにのまれてしまった」とふりかえる。2年連続の8強には届かなかったが、伊藤康弘監督は「ここまで来られたのは、野村が頼れるエースに成長してくれたから」とねぎらった。(本井宏人)