(19日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会準決勝 有田工0―3北陵) 北陵の加々良慧人(けいと)投手(3年)のこの…

 (19日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会準決勝 有田工0―3北陵)

 北陵の加々良慧人(けいと)投手(3年)のこの日の出番は四回2死一、二塁だった。「ピンチを作られたので、自分が抑えなければ」とマウンドへ。とはいえ、意気込んでいる訳ではなく、緊張もせずいたって冷静だ。「何も変えず、今まで通りに投げた」。変化球で二ゴロに打ち取った。

 ここまで、3試合全てで先発の吉武開登(かいと)投手(3年)からの左腕リレーで勝ち上がってきた。無失点を続ける加々良投手の打たせて取る投球は、さらにさえた。五回から七回まで1人の走者も許さなかった。

 七回の攻撃では三塁走者として果敢に本塁を狙い、貴重な追加点を奪った。浦田豪志監督は「加々良がいいタイミングで突っ込んでくれた」とほめ、足が速い方ではない加々良は「『いける』と思ったら、相手もあせって、自分が点を取れた」と喜んだ。

 好走塁で息が上がり八回は先頭打者に四球を与え、1死一、二塁のピンチを招いた。「今まで通りのつもりだったが、疲れがあったのかも」。それでも、落ち着いて後続を打たせて取った。

 直球の最速は130キロに届かないが、気にならない。「後ろが信頼でき、別に三振をとりにいかなくても、みんなが守ってくれるから」。独特の横手投げから仲間を信じ、丁寧に投げ、佐賀中央工時代の1973年に創部されたチームを、初の決勝へ押し上げた。(森田博志)