(19日、第107回全国高校野球選手権群馬大会3回戦、健大高崎7―0前橋工=八回コールド) 健大高崎が6点リードする六回…
(19日、第107回全国高校野球選手権群馬大会3回戦、健大高崎7―0前橋工=八回コールド)
健大高崎が6点リードする六回、球場全体から拍手が上がった。
昨夏に左ひじのトミー・ジョン手術(内側側副靱帯(じんたい)再建術)を受けた健大高崎の左腕・佐藤龍月(りゅうが)(3年)が、2番手としてマウンドへ。昨夏の群馬大会決勝で胴上げ投手となって以来、約1年ぶりの公式戦登板だった。
激痛に「絶望した」という手術後からずっと、この日をイメージしてきた。前日はわくわくと不安で寝つけなかったが、マウンドに立った瞬間に雑念は消えた。
「やることは一つ。バッターを抑えることだけ」
先頭打者への1球目。セットポジションから投じた直球は142キロを記録し、ストライクがコールされた。2球で追い込み、続く3球目は自己最速タイの147キロ。最後も直球で空振り三振を奪って「気持ち良かった」。
次打者に中前安打を浴び、犠打で2死二塁に。ピンチでも落ち着き払い、変化球で左飛に仕留めた。1回13球を投げて1安打無失点と、上々の復帰登板だ。
この日は得意球であるはずのスライダーを、一球も投げなかった。常時140キロ超を計測する直球は、選抜大会で優勝投手になった2年時より、力強さを増していた。
「今までの自分とは違う姿を見せたい」
リハビリ中にそう語り、投球スタイルを大幅に見直した。手術前はスライダーを多投していたが、ひじに負担がかかる球種と知った。キャッチボールができなかった約5カ月の間で柔軟性や下半身の強化に取り組み、直球主体の投手をめざした。
正捕手の小堀弘晴は言う。
「手術前よりも今の方がストレートで押せるし、ファウルも空振りも狙える。スライダーに頼らないで抑えられる」
誰よりも復帰を心待ちにしてきた一人でもある。
「投げられない間もずっと、どんな理想の姿になりたいかを話し合ってきた。実は公式戦でバッテリーを組むの、初めてです」
青柳博文監督は佐藤の起用について「1試合で1、2イニング。30球」と語り、健康第一を強調する。
リハビリの経過は、医師も驚くほど良好だったという。佐藤は「こんなに早い段階で復帰できるとは思わなかった。色んなことに感謝してマウンドに上がりたい」。一球一球をかみしめる夏だ。=上毛新聞敷島(大宮慎次朗)