＜全国高等学校野球選手権埼玉大会：上尾8x-7城西大川越（延長10回タイブレーク）＞◇17日◇3回戦◇上尾市民球場 公立…
＜全国高等学校野球選手権埼玉大会：上尾8x-7城西大川越（延長10回タイブレーク）＞◇17日◇3回戦◇上尾市民球場
公立の雄、Dシード・上尾、今年のチームは投打の大黒柱・皆川輝生（3年）への比重が大きい。投手陣として皆川以降の投手育成は急務である。
それだけに、中学時代に軟式で県・優勝経験があり、新チーム結成時からエースナンバーをつける渡邊冬雅（3年）、調子が上向きな2年生右腕の市川歩夢、この2人の投球は、今後上尾が上位進出できるかどうかの鍵を握る。
「皆川1人じゃ夏勝てないじゃないですか。皆川以外の投手をと思って」（高野監督）
と、先発はその渡邉冬、一方の城西大川越はエース左腕・木村晴一（3年）が登板し試合が始まる。この日上尾は城西大川越相手に試練のゲームとなった。
注目の立ち上がり、渡邉冬は初回2死から失策で走者を出すと、そこから突然乱れる。4番・福田泰雅（3年）に左前打を浴び、5番・斉藤琥楠（3年）に四球を与え2死満塁とされると、6番・倉林侑矢（1年）に押し出し四球を与え先制を許す。
それでも打線がその裏、2死一、二塁から5番・岡田脩杜（3年）の適時打と2死満塁から7番・渡邉光希（3年）の走者一掃となる適時二塁打で4点を奪いすぐに逆転し事なきを得たかと思われた。
だが、渡邉冬は2回以降も立ち直りの気配は見られず、1死一、二塁から2番・吉池舜（3年）にセカンド強襲適時打を浴び、早くもマウンドを2年生の市川へ譲る。
2番手・市川も流れを変えるには至らず、代わり端、3番・木村晴一（3年）のスクイズが野選となりまず1点、斉藤に左前適時打を浴びるとさらにレフトの返球が悪送球となり5対4と逆転を許す。倉林にも右前適時打を浴びるなどこの回一挙5失点を喫し6対4となる。
流れを失った上尾は4回表にも2死二、三塁から7番・石垣渓都（3年）の打球に対し、セカンドが一塁悪送球を放り3点差をつけられる。この日は初回から守備も投手陣の足を引っ張る形となった。
もうこれ以上は敗戦に繋がる。上尾ベンチはエース皆川をマウンドへ送る。
「渡邉冬は気持ちで負けていた。渡邉冬や市川で最低でも5回までは引っ張りたかったが、流れができないので皆川で行った」（高野監督）
「投げる予定はなかったですが、あの展開だと俺が行くしかないかなと。前の試合投げられたのが大きくて、直球もまあまあ良かった」（皆川）
皆川は大会直前の練習試合で右手に死球を受けた影響で完治はしたが調整が遅れ万全ではない。それでもその後は城西大川越打線を無失点で抑える。
一方、エースがマウンドに上がり落ち着きを取り戻した打線は、その裏、2死三塁から1番・石田空（3年）のセカンド強襲適時打で1点を返すと、5回裏にも平山道悠（3年）、岡田、根岸英樹（3年）の3連打で満塁とし、渡邉光の内野ゴロの間に7対6とする。
7回裏には6回から登板した城西大川越の2番手・本田康太朗（3年）を攻め、2死二塁から渡邉光の左前適時打でついに同点とするも、その後のチャンスでは決め切れず延長タイブレークへと進む。
10回表、1死二、三塁からセカンドゴロで大きく離塁した三塁走者をセカンドがうまく追い込み三塁封殺すると後続も打ち取り無失点で切り抜ける。
対する上尾はその裏、石田の犠打が内野安打となり無死満塁とすると、続く小瀬詠（3年）がきっちりとセンターへ飛球を放ち、この打球をセンターが取れずサヨナラ勝ち。
Dシード・上尾が粘る城西大川越を8対7で振り切り4回戦進出を決めた。
「皆川はまだ本調子ではないので休ませたい所でしたが、負けたら終わりなので。この前の浦和学院戦もそうですし高校野球は僕も長くやっているので、この前の浦和学院戦もそうですけど、命懸けで相手も来ますし、これで最後だと思ってやってくるチームの怖さは常に感じているのでこういう展開になることもある。終わった時に1点勝っていれば良いって話はしましたけど、今日は城西大川越の粘りを感じた。良いチームだと思います。タイブレークは代わった佐藤がよく守ってくれた。打線は少しフライアウトが多いのでもう少し低い打球を意識させたい」
と、高野監督も渋い顔。本来打撃が持ち味の皆川もこの日は内野安打1本に終わった。
「打席では焦ってしまった。1回死んだような状況なので、この試合を良い意味で捉えて次戦までに修正したい」
と、ホッとしつつ次を見据えている。
上尾はこの日も打線は16安打と振れているだけに、とにかく皆川以外の投手の奮起に期待したい。新人戦、昨秋、今春とずっとチャンスを与えられながら渡邉冬、市川等は公式戦で結果が出ないだけに今後の展開次第では右サイドの小野や1年生左腕の武田などの出番が増えるかもしれない。
次の相手は投打の柱・阪樹（3年）擁する県浦和。引き続き厳しい展開も考えられるが、どれだけ修正することができるかが鍵だ。
