(18日、第107回全国高校野球選手権東東京大会4回戦、九段6―3目白研心) 4回戦で敗れたが、目白研心がノーサイン野球…

(18日、第107回全国高校野球選手権東東京大会4回戦、九段6―3目白研心)

 4回戦で敗れたが、目白研心がノーサイン野球を最後まで貫いた。

 3点を追う八回表1死二、三塁で目白研心の攻撃。打席にはこれまで3打数無安打の浜武佐士(むさし)(3年)。だが、鈴木淳史(あつし)監督は、代打を送ることも、サインを出すこともなかった。「積極的にバットを振って、出塁してくれる」。そう信じていた。

 浜もベンチの監督を見ることなく、打撃に集中していた。「次こそは絶対つなげてやる」。カウント2―2で追い込まれた7球目。内角の球を強くたたくと、打球は三塁線上に。適時三塁打で一挙に2点を奪い、1点差に詰め寄った。

 監督が打者や走者に指示しない「ノーサイン野球」は、苦しみの末に生まれたものだ。

 昨秋の都大会は1次予選、今春の都大会は1回戦で敗れた。最後の夏の大会に向け、何かを変えないといけない――。鈴木監督が考えたのが、ノーサインだった。「こちら(監督)と野球をやるより、自分と向き合ってほしいと思った」

 サインをやめる代わりに、チームの意識が一つになるように、朝や昼休みに頻繁にミーティングを開くようにした。打撃は「強く、低く」を合言葉にした。浜は自分で考え、バドミントンの羽根打ちで、球を引きつけて逆方向にかえす練習を繰り返した。

 迎えた夏の大会、選手たちはノーサイン野球で躍動した。

 12日の初戦は7回コールド勝ち。15日の大崎との3回戦は1点差で競り勝った。このチームで公式戦で2連勝したのは初めてだった。

 この日の4回戦でも変わらなかった。あと一歩及ばなかったものの、選手たちは随所に自分で考える野球を体現した。鈴木監督は「本当に良くやってくれた」とたたえた。

 試合後、浜は肩を落としたが、こう口にした。「指示を受けるほうが簡単だけど、自分で試行錯誤して期待に応えるほうが楽しかった。この代で野球ができてよかった」=大田(武田遼)