(17日、第107回全国高校野球選手権秋田大会準々決勝、鹿角11―7能代松陽) 七回、先頭で打席に入った能代松陽の鈴木…
(17日、第107回全国高校野球選手権秋田大会準々決勝、鹿角11―7能代松陽)
七回、先頭で打席に入った能代松陽の鈴木天悟選手(3年)は集中した。「絶対に出塁して1番打者の役割を果たす」
ここで直球をとらえ、中前にこの試合初安打を放った。二盗などで進塁し、後続の安打で生還。八回も左前安打で攻めをつなぎ、7点目の本塁を踏んだ。
心の中に自分を奮起させるバネがあった。昨夏の初戦で喫した三振だ。9番打者で先発し、五回2死二、三塁の場面。「打っていれば、試合は分からなかった」。結果は1―2の黒星だった。
情けなかった。冬の間も頭に浮かべては練習に励んだという。伊東裕監督がいった。「3打席までがダメでも、4打席目にはやってくれる。そんな選手に育ってくれた」
1番打者として終盤の追い上げを演出した。もっとも、本人は「前半にもっと役割を果たさなければならなかった」。
ここでまた、あの三振を思い出す。「負けたにもかかわらず、先輩たちは自分たちに次をがんばれといってくれた」。その言葉に勇気づけられた。今、先輩と同じ気持ちだ。「励まし」をつないでいきたいと思う。(隈部康弘)