<全国高校野球選手権大会西東京大会:東海大菅生21-0日野台(5回コールド)>◇16日◇3回戦◇スリーボンドスタジアム八…
<全国高校野球選手権大会西東京大会:東海大菅生21-0日野台(5回コールド)>◇16日◇3回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
試合後、東海大菅生の若林 弘泰監督は、丸刈りで取材会場に現れた。「自分でやりました。五厘です」と若林監督。「今年は勝負ですから」と若林監督は言う。
昨年の夏も、一昨年の夏も、優勝候補でありながら、5回戦で敗れている。したがって、今の3年生は一度も甲子園には行っていない。だから今年こそは。その覚悟の気持ちの丸刈りである。
初戦の相手の日野台は、実力的にみれば、東海大菅生よりは格下になるのは否めない。しかし、2年続けて5回戦で敗れているだけに、東海大菅生に気の緩みはない。試合開始早々、東海大菅生の猛攻が始まった。
東海大菅生の先発、背番号11の中澤 幸佑(2年)が1回表に1死球はあったものの、無安打に抑える。1回裏東海大菅生は、1番・小上防 登生内野手(3年)がレフトに強い当たりの二塁打を放つと、猛攻が始まった。2つの四死球などで一死満塁になり、5番、中堅手で出場している藤平 寛己(3年)が右前安打を放ち、2人が生還した。「低い打球を打つことを意識しました。アウトコースの真っ直ぐです」と藤平は言う。この回東海大菅生は6点を入れる。
2回裏は、3番・前田 蓮遊撃手(3年)の二塁打から猛攻が始まった。4番・太田真滉内野手(3年)の四球の後、5番・藤平が左前安打を放ち、1点を追加した。1回に続き、2回も打者一巡の猛攻。藤平はこの回2打席目となる、3打席目も中前安打を放った。この回13点。3回裏も2点を追加して、東海大菅生が21―0、5回コールドで圧勝した。
打線の中で存在感を示したのは、5番・中堅手で出場している藤平である。この試合では3安打を打っている。「練習試合でも2本までだったので、3本は初めてです」と藤平は言う。
今年の春季都大会が始まったころ藤平は、エースの上原 慎之輔(3年)、140キロ台半ばの速球を投げる川崎 稜太(3年)に次ぐ3番手の投手という扱いで、それほど目立った選手ではなかった。状況が変わったのは、準々決勝の帝京戦だ。3番手として登板していた8回裏に打順が回り、満塁の走者を一掃する逆転の三塁打を放った。
そこから打者としても注目され、関東大会では初戦の健大高崎戦で5番・右翼手として先発出場。プロ注目の石垣 元気投手(3年)からも安打を放っている。さらにマウンドにも上がり、最速149キロを記録している。6月の練習試合では、あくまでもスカウトのスピードガンの数字であるが、152キロを表示したこともあるという。藤平は、150キロ近い速球を投げるうえに、クリーンアップも担える投打二刀流で、東海大菅生の優勝のカギを握る存在になっている。
丸刈りにした若林監督の頭について藤平は、「気合が入っていていいなと思います」と語る。選手も監督も気合は十分。強い気持ちでこの夏の戦いに臨む。