今週、選手たちの挑むロイヤルポートラッシュGCは、美しいリンクススタイルのレイアウトだが、その独特のコース設計は、ギア…

クリストファー・ゴッターアップは2週連続優勝がかかる(写真はスコットランドオープン Getty Images)

今週、選手たちの挑むロイヤルポートラッシュGCは、美しいリンクススタイルのレイアウトだが、その独特のコース設計は、ギアのセットアップという観点から、プロにとって大きな課題となっている。

風が強く、とりわけ芝の硬いリンクスのゴルフコースでは、ハイブリッドではなく、ドライビングアイアンか、あるいは米国で人気を博しているハイロフトのフェアウェイウッドを使用するのが一般的である。ドライビングアイアンにより、ボールを低く打ち出し、転がすことでボールをコントロールし、ラフや厄介なポットバンカーを回避することができるからだ。

今週は確実に海からの強風にさらされ、芝のコンディションは硬くなるわけだが、ロイヤルポートラッシュはそこまで単純ではない。セントアンドリュースのオールドコースや、先週「スコットランドオープン」を開催したザ・ルネサンスクラブと比較すると、ロイヤルポートラッシュのグリーン面はより砲台になっており、グリーンへ向かって転がし上げるのが難しくなっている。ロイヤルポートラッシュはグリーンに対して、高めでソフトなショットが求められるのである。

そうなると、打ち出しの低いドライビングアイアンは、そこまで汎用性を発揮できなくなる。確かにドライビングアイアンを使えば、向かい風のティショットはコントロールしやすくなるが、追い風ではどうだろうか?また、かなり砲台のグリーンを狙うショットの場合は?

クリストファー・ゴッターアップの全英オープンギア(Courtesy GolfWRX)

例えば、ジャスティン・トーマスは「スコットランドオープン」を前にタイトリストの1番アイアンを試していたが、今週は信頼を寄せるタイトリストの5番ウッドに戻す見通しとなっている。

テーラーメイドによるとコリン・モリカワは通常、コースや天候でドライビングアイアンと5番ウッドを使い分けている。今週はQi35のハイブリッドを使う見込みとなっているが、ドライビングアイアンと比較すると、ハイブリッドはスピン量が多く、高さが出るものの、風に向かって低く打ち出す多用途性も兼ね備えている。

タイトリストもキャメロン・ヤングがハイブリッドの使用を考慮していることを明らかにしており、現地の情報によると、ベン・グリフィンは7番ウッドをテストしていることが伝えられている。

キャロウェイの関係者は同社の契約選手たちは主にドライビングアイアンを選択するであろうことを述べている。マックス・グレイサーマンに至っては、よりタイトで低い打ち出しを実現するため、硬めのシャフトに交換する模様だ。

ピンの関係者もまた、今週はドライビングアイアンの使用率が上がることを述べている。2025年「全米オープン」からピンiDiのドライビングアイアンを使ってきたビクトル・ホブラン(ノルウェー)は、引き続き今週も同クラブを使う見通しとなっている。

また、テーラーメイドは、ここ数週間にわたり選手たちが米国外でプレーする中で、ミニドライバーの使用率が上がっていることを報告しており、これについてミニドライバーはトラブルの潜むホールでのティショットで強力なチョイスとなり、風の強いコンディションにおいても、スピン量をコントロールする上で役立つと述べている。

クリストファー・ゴッターアップは今週、テーラーメイドのミニドライバーとP770の3番アイアンをバッグに入れているところを目撃されているが、これらクラブは両方とも、彼がスコットランドで優勝した際には、バッグに入っていなかった。最近、米国外で勝った選手でさえ、今週はギアの変更を検討しているのである。

ギアの入れ替えについて、選手たちの頭を悩ませているのは、ドライビングアイアン、ハイブリッド、フェアウェイウッド、そしてミニドライバーに限った話ではなく、ショートゲームもまた、問題の種となっている。

典型的なリンクススタイルのコースと同様に今週はグリーン周りの芝が硬く、タイトに刈り込まれているため、ウェッジのリーディングエッジがボールを捉える前にソールやトレーリングエッジが芝をかむのを防ぐ上で、極度にバウンス角の低いウェッジを使用する必要がある。ただしこれには、ボールを捉えすぎて、薄いショットになってしまう危険性はあるものの、ローバウンスウェッジは、硬いターフでボールの下を捉え、プレーヤーが望むロフトとスピン特性を生み出すのに役立つのである。

しかしながら、バンカーはすこぶるソフトだ。白砂のビーチながら、数インチ下には硬い層がある状況を想像すると良いだろう。この性質の砂では、通常、バウンス角の高いウェッジが適している。ローバウンスのウェッジでは、砂に深く入り過ぎてしまうため、選手たちは、砂の表層を滑らせることのできるワイドソール設計を選択するのである。

今週の期間中、選手たちにとっては、ロイヤルポートラッシュをどう攻略するか自体がバトルとなるであろうが、ギア面での先を読む戦いは既に幕を開けているのである。どの戦略が最も大きな成功をもたらすかは、日曜日に明らかとなる。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)