今年のドラフトで指名候補が少ないのが、高校生左腕だ。今年のNo.1左腕・芹澤 大地投手(高蔵寺)は社会人行きを選択した。…

今年のドラフトで指名候補が少ないのが、高校生左腕だ。今年のNo.1左腕・芹澤 大地投手(高蔵寺)は社会人行きを選択した。そんな中で、高評価を受けそうな逸材がいる。それが東海大甲府の鈴木 蓮吾投手だ。1年夏から甲子園を経験した鈴木は2年夏ではチームを山梨大会決勝戦まで導き、140キロ後半の速球を投げる左腕として注目されてきた。

 関東の強豪校と練習試合が行われる際には、スカウトが熱心に詰めかけたほど。この夏は惜しくも初戦敗退に終わったが、それでも強豪・日本航空に8回1失点、7奪三振の好投をみせた。最速147キロをマークし、伸び上がるような速球は魅力的だった。

 投球フォームを見るとセットポジションから始動し、トップをしっかりと作って、強く腕を振る。しっかりと指にかかった時のストレートは一級品。高確率で空振りを奪うことができる。日本航空戦でもストレートで三振を奪うことが多かった。

 

 課題はこの試合でも7四死球(四球4、死球3)だったように、制球力である。

 ストライクが決まる時とボールになる時のフォームを比べると、良い時はトップを作った時に左ヒジがしっかりと上がって、胸を張って縦振りができている。指先に力が伝えられ、角度のあるストレートがコーナーに決まる。

 ボールになる時はトップが作れず、腕が遅れる形でリリースしてしまうので、ボールになってしまう。フォームの再現性を高めることが課題だろう。

 それでも下級生の時と比べると、ストライクゾーンへ投げる比率は高くなっており、走者を出しても自滅することなく、自分の間合いで投げられるようになった。

 

 変化球は横滑りするスライダー、カーブが中心で、外角ギリギリに投げて、カウントを稼いだり、打たせて取る目的で使っている。追い込んでいくと、自慢のストレートでねじ伏せるのが、鈴木の投球スタイルとなっている。

 まだ投球術が上手く、ウイニングショットとなる変化球を持っている左腕と比較するとその点で見劣りしてしまう。

 プロ志望の高校生左腕では最もストレートの強さが感じられる投手で、フォーム改善と体作りが上手く行けば、常時140キロ後半で、最速150キロ前半を投げていてもおかしくない潜在能力の高さがある。将来的にはヤクルト・高橋奎二投手(龍谷大平安)のようなパワー型の先発投手に育つ可能性はある。

 地方大会初戦敗退だったが、多数のプロのスカウトが視察する中で好投を見せた。春以上に良くなっていることや、今年のプロ志望の高校生左腕の中では上位の実力を秘める鈴木から考えると、ドラフト本指名の可能性もあり得るのではないか。球団によっては中位指名もあるかもしれない。