ブンデスリーガ第9節シャルケ対マインツの一戦は、2-0という結果以上に、現時点での両チームの力の差が明らかになった…

 ブンデスリーガ第9節シャルケ対マインツの一戦は、2-0という結果以上に、現時点での両チームの力の差が明らかになった試合だった。



シャルケ戦にフル出場したが、無得点に終わった武藤嘉紀

 シャルケは今季、ドメニコ・テデスコが新監督に就任し、欧州戦もないため国内リーグに集中できている。昨季から強化、編成の指揮をとるクリスティアン・ハイデルSD(スポーツディレクター)の色も濃くなり、今季こそ上位に返り咲きたいところだ。

 一方、マインツも昨季15位に終わって監督が交代。新たに迎えたサンドロ・シュヴァルツ監督がそのカラーを出そうとしているが、なかなかうまくいかない。ちなみにシャルケのハイデルSDは、16年夏にマインツから引き抜かれたという因縁があった。

 今季のシャルケが久々に上位進出を狙えるチームだということは、8月の移籍期限ギリギリまで在籍した内田篤人(ウニオン・ベルリン)も認めていた。内田曰く、テデスコは限りなく戦術的で「まるでサッカーゲームのように」指揮をとるという。選手が不安を口にしても「言った通りにプレーすればうまくいくから」と自信を与え、連係を確立していくのだ。基本システムは3-5-2で、基本的に3バックはディフェンシブに構える守備から入る形だ。内田が「たぶん今季のシャルケは強いと思うよ。いい選手もいるし」と言うように、各ポジションに好選手がバランスよく配されているのだ。

 そんなシャルケと対戦した印象を、1トップでフル出場した武藤嘉紀はこう話した。

「いや、強いですねえ。そりゃあ強いと思います、全員戦えるし。3バックが完全に残っている状態だから、俺が1人残っていても、そこに3人が絶対にいる形だった。守備は堅いなと。今日に関しては、俺の動きというのはかなり研究されていたみたいで、真ん中のCB(ナウド)がずっとついてきていた。それに3枚を残していても前は個人で戦えるし、ミスが少ないから、前半が1-0で終えられてよかったなと思います」

 一方のマインツは、ウィングが引き気味の3-4-3のような守備的なシステムをとった。だが、シャルケのプレスに押されたか、前に蹴っては押し返されるだけで攻撃のきっかけが見出せない。前線に蹴り込んでも、相手のCBは武藤が自由にプレーすることを許さず、決定機を作ることはできなかった。

「自分たちがボールを回すのを怖がってしまった。全部蹴っちゃうから。しかも前にいるのは俺だけで、そこに思いっきり蹴られても、相手のディフェンダー3枚が残っているから3対1。あそこで1人になっちゃうと厳しい。今日はチームとして、今季、一番悪かったんじゃないかなと思います」

 武藤にもチャンスはあったが、決め切ることはできなかった。47分、右からドリブルで持ち込んでシュートを放ったが、相手GKの右足にブロックされた。

「(GKは)よく触りましたよね。低めを狙って股を抜いて入ったかなと思ったけど、たまたまボールが浮いた。中にパス(する選択肢)もあったけど、自分自身で決めたかったし、ああいう貪欲さというのは出ていいかな、と。

 むしろ前半の最初、フリーでもらってドリブルミスしたようなのを減らしていかないと。今の自分ならかわせると思うし、あそこから決め切る力があると思うから、ああいうミスは絶対なくして、フォワードである以上、キーパーとの1対1、ディフェンスとの1対1はかわして決め切れるようになっていかないといけないと思います」

 武藤がもっとも悔しがったのは81分のシーンだった。左サイドのスペースを走り、絶好のタイミングでクロスをゴール前に入れたが、走り込んだケナン・コドロはシュートをふかしてしまった。武藤はピッチにへたり込んで悔しがった。

「あれを決めてくれないと……。1回のミスだからそれをつべこべ言うことはないし、力んじゃうコドロの気持ちもわかるけど……」

 今季最悪という試合内容に、武藤は「切り替えるしかない」と、むしろサバサバしていた。

「今日は本当に忘れるしかないかな。こんなひどいゲームをして引きずったら、降格争いに突入しちゃう。切り替えて次のフランクフルト戦、ダービーに勝ちたい」

 リーグ戦は約3分の1が終わったところだが、ここまで3ゴールの武藤がどこまで得点を伸ばせるかは、チームの戦い方にも大いにかかってくる。