(16日、第107回全国高校野球選手権愛媛大会2回戦、愛媛大付4―5今治西=延長十回タイブレーク) 「先のことは考えず…

 (16日、第107回全国高校野球選手権愛媛大会2回戦、愛媛大付4―5今治西=延長十回タイブレーク)

 「先のことは考えず、一人ひとりを打ち取るだけ」。3点リードで迎えた九回裏、愛媛大付の渡部雄一郎投手(3年)は、今治西の先頭打者を投ゴロに打ち取った。勝利まであと2アウトだった。

 130キロ前後の直球を主体に、カーブ、スライダー、フォークの変化球を低めに集め、たたみかける連打が特徴の相手打線をほんろうしてきた。

 ここで今治西は、背番号「1」の榊原綜太選手(2年)を代打に送った。渡部投手は「正直言ってワクワクした」。

 その榊原選手に左前安打を打たれた。続く3人の打者にも連続で長短打を許し、4―4の同点に追いつかれた。そして延長十回タイブレーク。今治西から適時打で1点をあげられサヨナラ負けした。

 実は2日前、物理の授業で椅子から立ちあがろうとしたときにぎっくり腰になり、はりを施してもらった。そんな影響をみじんも見せず、先発・完投し150球を投げきった。

 「今までで一番いい投球ができた。一緒に戦ってきた仲間には『ありがとう』と言いたい。自分が暗くなるとチームのムードが悪くなるから」。試合後も明るい表情だった。(水田道雄)