(16日、第107回全国高校野球選手権西東京大会3回戦、国士舘2―1国学院久我山=延長10回タイブレーク) タイブレーク…

(16日、第107回全国高校野球選手権西東京大会3回戦、国士舘2―1国学院久我山=延長10回タイブレーク)

 タイブレークにもつれ込んだ熱戦。十回表を0点で切り抜けた国士舘はその裏、強攻策を選んだ。

 無死一、二塁で打席に立った下立蒼大(3年)は、バントのそぶりを見せないまま、四球を選んだ。「二塁走者が投手だったし、相手は守備がいいので、バントしても三塁でアウトになるかも、と。強気でいかせました」と箕野豪監督。無死満塁とチャンスが広がった。

 次打者の石田凪人(2年)はストレートに狙いを絞る。「変化球に合わせにいくと、緩いスイングになる。思い切り振って、外野フライを打ちたかった」。初球の直球をとらえてレフトへの犠飛とし、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 序盤は押され気味で、先取点を奪われた国士舘。だが、尻上がりに調子を上げたエースの鎌村曜平(3年)が流れを呼び込む。「高校生活の中で、一番いいピッチングだった」と振り返るほど、直球に力があり、変化球も低めに集まった。

 終盤に2度、無死満塁のピンチを招くが、九回は三塁ゴロ併殺と内野ゴロで、十回は内野フライと三振で切り抜けた。国学院久我山の主将、中沢隆将(同)は「鎌村投手の対策はしていたが、それ以上に変化球の切れや精度がよかった」と話す。

 国士舘は昨秋、今春と思ったように力が発揮できず、西東京大会はノーシード。「大会序盤にこういう試合ができたことで、勢いに乗っていけると思う」と箕野監督。サヨナラ打を放った石田も「この後も厳しい試合が続くと思うが、相手のすきを突いて得点し、勝っていきたい」と笑顔を見せた。=スリーボンド八王子(岡田昇)