(16日、第107回全国高校野球選手権大阪大会3回戦 履正社7―0汎愛=7回コールド) 相手は何度も「甲子園」に出ている…

(16日、第107回全国高校野球選手権大阪大会3回戦 履正社7―0汎愛=7回コールド)

 相手は何度も「甲子園」に出ている履正社。序盤から猛攻を受けた。

 だが、先取点を許しても「反撃するぞ」。追加点をとられても「これ以上、点はやらない」。汎愛の山中大地捕手(3年)は、気持ちを切らさずにリードを続けた。

 何度もマウンドにかけより、投手に「いつも通り、思いっきり投げて大丈夫」と声をかける。

 6点をリードされた六回裏2死一、二塁の場面では、中前安打で本塁に迫ってきた二塁走者を、大きく体と手を伸ばしてタッチアウトにした。どんなに点差が開いていても「何かが起こる」と信じて、プレーした。

 この日の朝、仏壇の遺影に「勝つよ」と誓って家を出た。昨年11月に母の繭子さんが亡くなり、父の光治さん(47)が会社勤めをしながら、家事もこなすようになった。何かできることは――。悩む自分に、光治さんは「一生懸命、野球をやることだ」と言った。

 配球を必死に勉強した。投手らとの深いコミュニケーションを心がけるようになり、走り込みにも熱が入った。

 帽子のつばに「感謝」と書いて迎えた最後の夏、2回戦ではサヨナラの一打を放った。スタンドで繭子さんの遺影とともに見守った光治さんは「お母さんが力をくれたみたい」と笑う。

 3回戦の壁は厚く、七回コールドで敗れたが、光治さんは必死で食らいつこうとする姿を「今までで一番かっこよかった」とたたえた。

 山中捕手は試合後、「悔しい」と口にした。もっと活躍する姿を見せたかった。両親には「今まで支えてくれて、ありがとう」と伝えるつもりだ。(渡辺萌々香)