(16日、第107回全国高校野球選手権福岡大会4回戦 東海大福岡7―8福岡大若葉=延長十二回タイブレーク) 7―6でリ…

 (16日、第107回全国高校野球選手権福岡大会4回戦 東海大福岡7―8福岡大若葉=延長十二回タイブレーク)

 7―6でリードして迎えた十二回裏、2死満塁。エースナンバーを背負う東海大福岡の西村壮投手(3年)が勝負球に選んだのは、磨き上げてきた直球だった。だが、相手打者にはじき返された打球は外野へ。「あぁ、終わった」。逆転サヨナラ負けが決まり、うなだれた。

 度重なるけがに悩まされた。昨夏は右肩の肉離れ。約1カ月間、家での体幹トレーニングや走り込みに励んだ。「どれだけ走ったか自分でもわからなくなるくらいだった」。でも、今度は年末に左足の肉離れ。球威を取り戻すことはもちろん、けがをしない体作りにも力を入れた。

 チームは昨春の選抜大会に出場し、西村投手もメンバー入りを果たした。ただ、昨秋の県大会は5回戦敗退、今春も準々決勝敗退と思うような結果を出せなかった。最後の夏にかけていた。

 終盤の2回を任された3回戦の小倉東戦に続き、この日も四回からリリーフで登板。十一回まで無失点。粘り強い投球で試合をつくった。

 劇的なサヨナラ負けに「背番号1として、やるべきことをやれなかった」。部員の保護者らから「ナイスピッチング」「お疲れさま」と声を掛けられると、我慢していた涙があふれた。(山本達洋)