<全国高校野球選手権埼玉大会:花咲徳栄12-2大宮南(7回コールド)◇15日◇3回戦◇レジスタ大宮球場 雨により2度の中…

<全国高校野球選手権埼玉大会:花咲徳栄12-2大宮南(7回コールド)◇15日◇3回戦◇レジスタ大宮球場

 雨により2度の中断があった優勝候補のCシード・花咲徳栄と大宮南との一戦。

 プロ注目・田島蓮夢(3年)が投手として遂に公式戦でベールを脱いだ。実は昨秋も浦和学院戦に勝っていれば次の試合で投げる予定だったそうで、今春は右肘痛により登板回避。個人的に田島の登板を見るのは昨秋の4地区選抜交流戦以来となったが、その時はアベレージで140km。最速143kmであった。今回はどうか。

 先発はその田島、一方の大宮南・安川悠真(3年)と両エース同士が登板し試合が始まる。

 花咲徳栄は初回、大宮南・安川の立ち上がりを攻め、西岡 虎太郎(3年)、田島の連打などで満塁とし、6番・佐伯真聡(2年)がレフト前適時打を放ち幸先良く2点を先制する。

だが、花咲徳栄の先発・田島もピリッとしない。

 田島は初回、一死から2番・島田 一翔(3年)に中前打を浴びるとすぐに2盗を許し二死三塁とピンチを招くと、ワイルドピッチで1点を失う。

 1点差となった花咲徳栄は、2回表にも相手の失策や岩村 敬太朗(3年)の適時三塁打などで2点を奪うと、3回表にも水口 煌志朗(3年)、笹崎 昌久(2年)の連続長短打で1点を追加し5対1とする。

 これで試合の流れを掴んだ花咲徳栄は、5回表に相手の失策や柳健太(3年)の犠飛などで2点を追加すると、7回表にも佐伯、酒井煌太(3年)の連続長短打で8点差。8回表にも3四球に失策も絡み3点を追加するなど14安打12得点を奪い試合を決めた。

 投げては先発・田島が3回以降、尻上がりに調子を上げ5回被安打2、6奪三振1失点で公式戦初マウンドを切り抜けると、その後正岡大弥(3年)、黒川凌大(2年)と繋ぎ2失点で切り抜ける。

 結局、花咲徳栄が7回コールド12対2で勝利し4回戦進出を決めた。

 岩井監督は「攻撃のほうは低い打球を打てていてまずまずなんだけど、投げるほうは下が悪かったこともあるがボールも来ていないし、ブルペンとマウンドが違うので投げにくそうにはしてたかな。本来あんなにボール球が多い子じゃないし良いボールが少なかった」と、田島へやや辛口の評価。このあたりは背番号1への期待の表れであろう。

 本人は監督のそれより厳しいものだった。

「全然ダメ。緊張感もありましたが、雨が降っていることに対応しきれなかった。直球も変化球も甘く入ってましたしいらないボール球も多かった。守備から流れを作るという所で流れを持ってくる投球ができなかった。夏一発勝負ですし、初めて投げるとかは関係ないので。こういう投球をしてしまうと岩井先生も使うのが怖くなってしまうので、次投げさせてもらえるのであれば気持ちを入れて投げたい。本当に今日はダメだった」と、反省の言葉が口をついた。普段からより高みを目指している証拠であろう。

「正直、投手に関しては夏1番をもらえるとは思っていなくて。たまに投げさせてもらえたらいいなと思っていたくらいなんですが、背番号1をもらってから気持ちが変わった。どうしても野手の練習が長くなってしまうんですが時間を探してシャドーや肘のトレーニングをしてきた。去年、上原堆我さん(リックス)の姿を見ていてやっぱりこの人が投げていると安心感が違うっていうのがあった」

 プロ入りした上原を尊敬し、本人も背番号1としての自覚が徐々に出始めている。

 本業の打撃面でも「今日の投手は外一辺倒で低い打球を意識したが、中断もあってポップフライを上げる打者もいた。もっと点が取れたのではと思っていたのでそこをしっかり修正したい。岩村や西岡らはいつもチャンスで自分に廻してくれる。自分が打たないと打線が止まってしまう。次は昌平ですし打撃を変えられるように。浦和学院が敗れても一戦一戦です。昌平は昨夏敗れて次の試合に賭けてくると思うので、むしろこっちが挑戦者のように向かっていかないと」と、チームの中心として反省を忘れない田島。

 次戦は昨夏の決勝のカードとなる昌平が濃厚。浦和学院が敗れた今、次はいよいよ今大会の今後の流れを占う前半戦の山を迎える。勝つのはどっちだ。