(15日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 旭川志峯9―1北見北斗 7回コールド) 打球は中堅前にポトリ…

(15日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 旭川志峯9―1北見北斗 7回コールド)

 打球は中堅前にポトリと落ちた。

 七回表、9点差をつけられ後がない北見北斗の無死一、二塁の好機。三塁コーチャーの小笠原優太選手(3年)は「ちょっと浅いか」と思ったが、中堅手がもたついているのが視界に入った。

 思いっきり腕をグルグルと回した。一度はスピードを緩めた二塁走者の菊地颯空選手(3年)が、小笠原選手の腕を見るや猛然と三塁を蹴った。唯一の得点となった。

 「できるだけ長く試合を続けたかったので、とにかく腕を回した。仕事ができてよかった」と、小笠原選手。小中学校は投手だった。北見北斗では投手として思うように成績をあげられず、2年秋から三塁コーチャーを任された。コーチャーの一瞬の判断で試合結果が変わる。難しさと同時におもしろさも感じた。

 試合前のノックでは、ストップウォッチを片手に相手野手のバックホーム時間を計測。試合中は頭の中に入れている自チームの選手の足の速さを考えて瞬時に判断するという。

 小笠原選手は試合後、「全力でやれた。悔いは無いとはいえないけど、やりきったと思います」と目に涙。大学で野球を続けたい。めざすは野手も投手もこなせる万能選手だ。(中沢滋人)