(13日、第107回全国高校野球選手権群馬大会2回戦 中央中等3―2伊勢崎商) 夏の群馬大会で9年ぶりに2勝を挙げた中央…

(13日、第107回全国高校野球選手権群馬大会2回戦 中央中等3―2伊勢崎商)

 夏の群馬大会で9年ぶりに2勝を挙げた中央中等。部員はマネジャー2人を含む16人。3年生はわずか4人。少ない人数でも力を合わせて3回戦進出を果たし、チームが目標としたベスト16入りを達成した。20日に予定されている3回戦で第3シードの東農大二と対戦する。

 マネジャーの吉沢未輪子さん(3年)はノッカーとしてグラウンドに立ち、試合前のシートノックで選手を鼓舞する。

 1年の時、夏の群馬大会が終わり最上級生が引退すると、部員は選手4人、マネジャー3人となり、秋の県大会では連合チームを組んだ。「選手に対してマネジャーが3人いる。自分たちマネジャーにもっとできることはないだろうか」。吉沢さんは米山右恭(うきょう)監督(28)に手紙を書き相談してみた。

 「チームに少しでも貢献できることがあれば、何でもやらせてください」

 米山監督は「ノックやってみる?」とバットをプレゼントした。吉沢さんは野球経験はあるが、ノッカーは初めて。選手にトスやバットを振るタイミングなどを教えてもらい、ノックの練習に付き合ってもらった。

■劇的、ホームスチール成功

 群馬大会では「選手のいいウォーミングアップになり、いい結果が出るように」と願い、同じユニホームを着て試合前にグラウンドで内野ノックを打った。

 願いが届き、選手は躍動した。8日の1回戦で大間々に2―0で勝利。13日の2回戦では伊勢崎商に3―2で競り勝った。その決勝点を決めたのは背番号8の木暮悠輝(はるき)選手(3年)。八回表2死二、三塁。三塁から本塁に滑り込み、本盗に成功。観客は沸き立った。

 米山監督は「いかに相手の隙を突いていくかが大事。サインは出したが、木暮の判断でうまくいった」。

■次戦は「親子対決」も

 木暮選手は「ずっとタイミングをうかがっていたが、投手が投球モーションに入った時のタイミングを見ながら、思い切ってスタートをきった」。高校1年の頃から米山監督に走塁や盗塁の仕方をたたき込まれてきた。50メートル走のタイムは6秒7。「足が特別速いわけではないけど、それでも盗塁は決められる。2回勝つという初めての経験ができた」と喜んだ。

 3回戦の相手は、昨年秋の関東大会ベスト8で優勝候補の一角に挙がる東農大二。もう1人のマネジャーの小林美奈花(みなは)さん(3年)の父は東農大二の指導者。「私が野球が好きになったのは父の背中を追ってきたから。でも3回戦では、農二を倒したい」(中沢絢乃)