<全国高校野球西東京大会:田無7-2上水>◇14日◇3回戦◇ジャイアンツタウンスタジアム 田無の島修司監督と上水の岩崎剛…

<全国高校野球西東京大会:田無7-2上水>◇14日◇3回戦◇ジャイアンツタウンスタジアム

 田無の島修司監督と上水の岩崎剛監督は、久留米西時代の5年違いの先輩後輩という間柄である。共に当時の監督は武井 克時前東京都高野連理事長である。武井前理事長はかつて、「高校野球の指導者としては、大会で一つでも上へ行こうという思いでした。だけど、そうやって一生懸命やっているうちに、その副産物として、卒業後に指導者の道を目指して教員になってくれる教え子が多くて、それは、とても嬉しいこと」と語ってくれたことがあった。この試合は、そんな武井前理事長の思いが結実したような教え子対決となった。武井前理事長もスタンドに訪れていた。

 その恩師の前で、集大成となる夏の大会となったが、田無も上水も、持てる力を十分出し合うどころか、それ以上の力を示した好試合となった。結果としては、点差は少し開いたもの、都立校として限られた条件の中ながら、一生懸命に真面目に練習をやってきた者同士である。しっかり練習していけば、一番大事な舞台で、こんないい試合ができるのだ、ということを示してくれた。

 上水は、田無の走者を5度も本塁で刺している。外野手の送球は、ブレることなく、練習してきたとおりにきちんと捕手のミットに収まっていた。背番号9の北野 正吾捕手(2年)も、ボールをこぼすことなくしっかりとタッチアウトを奪っていた。

 また、田無の走者も暴走ではなかった。「2アウトだったら、基本的には二塁からも積極的にゴーということは指示していた」と、島監督は振り返った。お互いに日々の練習でやってきたことをしっかりと、試合の場で出し尽くせたと言っていいであろう。

 ただ、この日の田無では3番瀧上 晃正選手(3年)が3本の長打を放ち、いずれも得点に絡んでいったことで、有利に運んでいった。また、下手投げの曽山 勇貴投手(3年)も、低めにボールを集めていって、上手に打たせていく投球だった。

 曽山投手は、初戦で、聖徳学園相手に2対1で辛勝した試合でも完投している。そこから、中1日での登板となったが、「今日は行かせてください」と島監督に志願し、2試合連続完投勝利を挙げた。島監督も理学療法士とも相談してゴーサインが出たことで安心して送り出したが、その起用にも応えた。「肩甲骨がとても柔らかい子で、あの投げ方ができているのですが、疲労もそんなに溜まっていないみたいですね」と、信頼しきっていた。

 もちろん、多少のミスは否めない。だけど、派手さはなくても、部活動として野球に一生懸命取り組んできた同士の対戦。上水は、3年生は3人しかおらず、全部員でも17人という小世帯だ。それでも、試合運びもきびきびとしていた。普通の公立校でも部活動として、真面目にしっかりと練習を重ねていけば、こんないい試合ができるのだということを示してくれた、とても爽やかな好試合だった。

 両校の一生懸命な姿勢は、恐らく彼らの最高峰のプレーだったのではないだろうか。ファインプレーも、お互いに随所に飛び出していた。

 高校野球が長い歴史を背負いながら、広く支えられている根底には、こうしたチームが頑張っているという姿を見届けたいというファンが多くいるからなのだろうということも、改めて再認識させてもらえた。心から拍手したい好試合だった。