<全国高等学校野球選手権滋賀大会:伊香2-1瀬田工>◇14日◇2回戦◇マイネットスタジアム皇子山 瀬田工のプロ注目右腕・…

<全国高等学校野球選手権滋賀大会:伊香2-1瀬田工>◇14日◇2回戦◇マイネットスタジアム皇子山

 瀬田工のプロ注目右腕・岡本 一徹投手(3年)が先発。5回3分の1を投げて、3安打2四球4奪三振で1失点と好投したが、打線の援護に恵まれず、初戦敗退を喫した。

 岡本は横手投げと下手投げを使い分けながら、130キロ前後のストレートを投げることができる器用な投手。スピードガンの表示以上に速さを感じさせる投手だ。

 また、この夏は投球フォームをバージョンアップ。吉村 優聖歩投手(巨人)のように腰を大きく捻る投げ方になっていた。これは春季大会が終わってから取り組んできたという。

「春の綾羽戦で不甲斐ない結果になって、同時に右脇腹の怪我も重なり、ちょっと下から投げるのはちょっと厳しいかなというので、最初は普通に横から投げていたんですけど、ちょっとコントロールが悪くて、綾羽の安井 悠人選手(3年)を参考にして、捻った感じで投げたら、思った以上に良いところに投げられたので、春が終わってから、そういう投げ方になりました。力感のない投球をしようかなというので、自分はスナップが強かったので、そこは参考になりました」

 春季大会で対戦した投手を参考にして投球フォームを変えた岡本。横手投げをメインにしながらも時折、下手投げを織り交ぜ、伊香打線を翻弄する。「調子は良かった。真っすぐも走っていて、スライダーもキレがありました」と5回まで無失点に抑えた。

 しかし、6回表に一死から三塁打を浴びると、続く打者に四球を出したところで降板。2番手でマウンドに上がった左腕の平野 壱星投手(3年)は代わり端に左犠飛で先制を許すと、8回にも1点を失った。

 反撃したい打線だが、伊香のエース・安井 天良投手(3年)を攻略できない。降板した岡本が一塁ランナーコーチとして懸命に鼓舞する中、8回裏に相手の失策で1点を返し、9回裏も二死満塁と一打逆転サヨナラのチャンスを作る。しかし、最後は空振り三振に倒れてゲームセット。岡本の夏は早くも終わった。

 これまではプロ志望届の提出も視野に入れていたが、「まだまだ自分は未熟なので、大学で磨いていこうかなという気持ちです」と進学の意向を表明。4年後にプロ入りを目指す考えだ。

 高校入学直後に母の一美さんが病気で死去。それ以来、小椋 和也監督夫人に弁当を作ってもらって、体を作ってきた。今春に弟の美優士が大津商の野球部に入部してからは父の信也さんが二人分の弁当を作ってくれるようになったという

「勝利を届けたかったですが、感謝の気持ちでいっぱいですし、それをしっかりと伝えたいと思います」と話した岡本。お世話になった人々に恩返しするために今後も野球を続けていく。