東アジアのサッカー最強国を決めるE-1選手権は、最終節を残すのみとなった。日本代表は第2戦で、中国代表に2-0で勝利。…
■収穫は「システム」の使い分け
それでも、「1点差」が続くのは不安なものだ。
細谷真大のゴールで先制した直後の17分には、縦パスからスクランブルが生じて、1トップの張玉寧(ツァン・ユニン)に抜け出された場面があった。この場面では、GKの早川友基が落ち着いてストップしたが、こうした事故のような場面はいつでも起こりうる。そして、中国には日本選手のプレスを受けてもパスをつないだり、個人で突破できる選手が何人かいた。
ただ、攻撃がうまく機能せずに苦しみながらも、日本はじれることなくゲームをコントロールできた。
そして、相手に合わせて4バックと3バックを使い分けることもできた。
日本はスタート時は右から望月ヘンリー海輝、綱島悠斗、植田直通、長友佑都の4バック。一方、中国は5バック(5-4-1)で守り、4バック(4-4-2)で攻める可変システムで、両サイドからの攻撃はかなり執拗だった。すると、日本は3バックに変更して右SBでスタートした望月と左サイドハーフだった俵積田晃太がウィングバックとなった。
日本代表は試合前から2つのシステムを使えるようなプランだったらしいが、システム変更をスムーズにこなせたのは一つの収穫だろう。
■選手起用の幅も「大きくなる」韓国
そして、じれずに耐え続けた日本代表に64分に待望の2点目が入る。左の俵積田が持ち込み、稲垣祥、望月とつなぐ。そして、望月がやや強引にシュートすると、これが相手DFに当たってコースが変わって2点目が生まれた。
2点をリードした日本は、その後はリスク管理を徹底して、ほぼ危なげなく逃げ切って2連勝。勝点で並ぶ韓国を得失点差で上回って最終韓国戦に臨むこととなった。
日本はGKの大迫敬介以外のすべての選手をピッチに立たせたが、韓国も第2戦は完全ターンオーバーだった。それだけに、互いに相手がどのようなメンバーで来るのか見通せないが、韓国は休養日が中3日で日本より多いので選手起用の幅も大きくなるはずだ。
前にも述べたように、日本選手の個人戦術、つまりボールを受ける前のちょっとした工夫とか切り替えの早さなどは、韓国と比べてもやはり1枚上。攻撃陣としては2試合を通じて好調そうだったジャーメイン良や佐藤龍之介、相馬勇紀、宮代大聖あたりが起用されるだろうが、彼らがうまくパスをつなげれば韓国守備陣を突破できることは間違いない。
■難しくなる「最終ライン」の対応
一方、韓国の前線は強力だ。
1トップとして中国との初戦に先発した韓国の周敏圭(チュ・ミンギュ)も香港戦でプレーした李昊宰(イ・ホジェ)も、どちらも高さがありヘディングが強い強力CFだ。また、中国戦で強烈なドライブシュートをたたき込んだ右シャドーの李東炅(イ・ドンギョン)の左足も驚異的。
つまり、前線に良い形でボールを供給されると、最終ラインの対応はかなり難しくなる。
前線や中盤では日本が優位に立てそうなので、前からしっかりとプレッシングをしっかりかけたい。
連戦で疲労がたまっているのは間違いないが、これまで最高気温37度の熱波に見舞われていた韓国・龍仁(ヨンイン)市も、週が明けると曇りがちで気温が下がる。中2日という強行日程の中でいかにしてコンディションを上げられるか? そして、体力の消耗を少なくしながら相手にしっかりプレッシングをかけるための戦術的な準備ができるか?
日本代表の総合力が試される。