東アジアのサッカー最強国を決めるE-1選手権は、最終節を残すのみとなった。日本代表は第2戦で、中国代表に2-0で勝利。…
東アジアのサッカー最強国を決めるE-1選手権は、最終節を残すのみとなった。日本代表は第2戦で、中国代表に2-0で勝利。初戦の6-1と比べるとゴール数は少なかったが、失点ゼロで勝ち切った。中国戦で勝利した「要因」と韓国戦までに必要な「修正」、そして、警戒すべき「キーパーソン」などを、現地取材を続けるサッカージャーナリスト後藤健生が徹底分析!
■取れなかった「攻撃面の連係」
2対0で勝利したものの、中国との第2戦は日本にとって非常に難しいゲームとなった。
なにしろ、攻撃面での連係が取れなかったのだ。
一緒にプレーしたことのない選手が多かったのだから、当然と言えば当然のことだ。集合後、数回のトレーニングを通じて“すり合わせ”は行われたはずだが、やはり実戦を経ないとコンビネーションはつくれない。それでも、経験が豊富な選手同士ならチームとして戦えるだろうが、先発の11人は長友佑都や植田直通を除いて若くて経験の少ない選手ばかり。自らのストロングポイントを発揮するだけで精いっぱいだった。
ほんの一例ではあるが、後半にこんなプレーがあった。
後半からピッチに立った稲垣祥が左サイドの俵積田晃太を使おうと前のスペースにパスを出したのだが、俵積田は反応できずにボールはタッチを割ってしまった。稲垣としてはドリブラーである俵積田がプレーしやすいように前のスペースにパスを送ったつもりなのだろうが、俵積田はどちらかというとボールを足元に置いてからドリブルに移るのを好む。
互いのプレーの癖が分かっていれば、こんなミスは起こらないはずだ。
そんな事象が、ピッチ上のあちこちで起こっていた。
■ジャーメイン良の「再現」期待も…
そんな中で、中盤を任された田中聡と宇野禅斗の2人は最終ラインからボールを引き出しながら丁寧にボールをさばいて攻撃につなげた。また、右のサイドハーフないしはシャドーで起用された佐藤龍之介はパスを引き出して個人技で相手をかわし、味方も使いながら右サイドからの攻撃を活性化させた。
日本代表は11分という早い時間帯に細谷真大の素晴らしいシュートで先制した。田中が細谷に鋭いパスを入れると、細谷は反転しながらシュート。これが見事にコントロールされて、ゴール左下隅に決まった。
香港戦のジャーメイン良も早い時間帯(4分)にシュートを決めると、その後も波に乗って4ゴールを決めた。細谷にもその再現を期待したのだが、残念ながら細谷はその後はうまくパスを収められず、チャンスにもシュートを枠内に飛ばせなかった。
■他国との小さくても明確な「差」
左サイドの俵積田は何度もドリブルで仕掛けたが、なかなか抜ききれず、一方、右サイドの望月ヘンリー海輝は再三クロスを上げるが、中央の動きと合わない……。
こうして、日本代表はなかなか2点目が取れずに苦戦することとなったが、それでも選手たちはじれずに守備のタスクだけはしっかりとこなしていた。前線の細谷はプレスバックして守備陣を助け、原大智は相手ウィングバックの動きに守備陣が対応しきれないと見るや、すぐにサイドに開いてスペースを消した。
中国代表はワールドカップ予選を経験した選手たちに若手が加わったチームなので、日本と比べればチームの一体感ははるかに大きい。しかし、日本の選手たちが「奪われたらすぐに守備」といった基本を怠らなかったことによって、中国はなかなかチャンスを作れなかった。
このあたりが、他のアジア諸国と日本との小さくても明確な差なのだ。