(13日、全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 三郷北3―2草加) 七回裏が終わったベンチ裏。草加の捕手・遠藤響太郎選手(3…

(13日、全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 三郷北3―2草加)

 七回裏が終わったベンチ裏。草加の捕手・遠藤響太郎選手(3年)はひとり、廊下でうずくまっていた。「ここで打たなきゃ」。七回表には普段しない捕逸で勝ち越しを許した。

 八回裏。遊ゴロを打って一塁に全速力。頭から飛び込んだが、わずかに間に合わなかった。右手の拳で地面を一度だけ思い切りたたいた。

 が、顔を上げるといつもの笑顔でプレーを続けた。

 小1から野球を始めて、捕手につくことが多い。「一番崩れてはいけない」というポジションへの思い入れと責任感が強い。

 毎日のように居残りで2時間練習して「一番努力していた」と玉森将樹監督が評価する。

 1点を追う9回裏2死満塁、走者2人をかえせば、サヨナラの好機。遠藤選手に打順が巡ってきた。

 初球をとらえ、ライナーに。「ガッツポーズしそうになった」当たりだったが、頭を越えるかに見えた打球を、ショートがジャンピングキャッチ。歓声は一瞬で悲鳴に変わった。

 「あと10センチそれていたら」。涙が目からこぼれ落ちないように、何度も上を向いて言った。(折井茉瑚)