(第107回全国高校野球選手権三重大会2回戦 海星5―4四日市) 「自分が決める」。1点を追う九回表2死二、三塁、四日…
(第107回全国高校野球選手権三重大会2回戦 海星5―4四日市)
「自分が決める」。1点を追う九回表2死二、三塁、四日市の太田健斗選手(3年)に打席がまわってきた。だが、申告敬遠で一塁へ。次打者に勝利を託したが、遊ゴロに終わり、敗退が決まった。
「今日は打席に入った時に集中できて、打てる自信があった」
この日の相手は、春夏の甲子園出場13回を誇るシード校海星。エース森部滉晟投手(3年)を前に気負いはなかった。
初回から仲間が連打で一、二塁の好機を作った。打席に立った太田選手はファウルで粘った末に、右越えの適時二塁打を放ち、先制点をたたき出した。
この回の裏には捕手として二盗を阻止するなど、攻守両面でチームに流れをたぐり寄せた。4失点で逆転を許した三回は、投手の気持ちを楽にさせようと、マウンドに向かい笑顔で話しかけ、もり立てた。
終盤には1点差に迫るなど、1955年夏の甲子園で優勝した伝統校は最後まで相手を追い詰めた。川喜田真也監督は「選手が自分たちでよく考え、練習してきた成果」とふり返る。
試合後、太田選手の目には涙があった。しかし、それは後悔ではないという。「毎日一緒に過ごしてきたメンバーともう野球ができなくなるのが寂しい」。チーム一丸となって戦った夏が終わった。(鎌形祐花)