プロ野球の支配下登録期限は7月31日。期限が近づき12球団は新外国人の獲得、海外でプレーしている日本人選手の活躍、好成績…
プロ野球の支配下登録期限は7月31日。期限が近づき12球団は新外国人の獲得、海外でプレーしている日本人選手の活躍、好成績を残している育成選手の支配下登録などを駆け込みで行っています。そんな中、西武は待望の長距離砲を支配下登録しました。仲三河 優太外野手(大阪桐蔭)です。今季は二軍で、45試合9本塁打、37打点、打率.327の好成績。2年ぶりの支配下登録復帰を果たし、12日のロッテ戦では4打点の活躍でお立ち台に上がりました。
大阪桐蔭時代から追いかけてきた筆者からすれば、とてもうれしい活躍です。
高校時代は本格派右腕として期待されるも故障で打者転向
仲三河選手の名前を初めて聞いたのは、彼が中学3年生の時です。強豪・小山ボーイズのエースとして活躍していた仲三河選手は、チームをジャイアンツカップ決勝に導く快投。決勝戦では度会隆輝外野手(DeNA)などがいた佐倉シニアに敗れたものの、最速138キロの速球を投げ込む右腕として記憶に残りました。U-15代表に選ばれ、主力投手として活躍します。
数多くの強豪校のオファーがある中、大阪桐蔭に進学することを決めました。
「夏の全国大会のあと大阪桐蔭に声をかけられました。それまでの全国大会ではすべて準優勝という形で終わりました。高校では日本一になりたいと思いましたし、日本一の大阪桐蔭で学びたいこともあるので決めました」(仲三河選手)
日本一を目指して、大阪桐蔭に進んだ仲三河選手は入学当初、投手として期待され、6月の香川県招待試合では1年生ながら遠征メンバーに選ばれ、4回6奪三振の快投を見せます。しなやかな投球フォームから繰り出す伸びのある130キロ後半の快速球には大きな可能性を感じました。しかしヒジを痛めたことで、投手は断念。もともと打力も高かったため、外野手に専念します。2年秋になると細身だった仲三河選手は180センチ90キロとガッシリとしたスラッガー体型の選手に変わっていました。
打撃フォームは、巨人・丸佳浩外野手を彷彿とさせました。このフォームの意図について聞いてみると、こう答えてくれました。
「よく似ているといわれますが、丸選手の映像を見て変更したわけではありません。上半身と下半身の連動性、リズムが大事だと思っているので、そういう動きを求めた結果、今の打撃フォームにいきついて、指導者やトレーナーからもその構えが良いと評価してもらいました」
冬は、緩急に対応できるように打撃フォームの修正と、投手として復帰できるために、投球練習を行い、二刀流としての準備を行っていました。しかし20年はコロナ禍の影響で、全国大会が中止に。また右足指の怪我で、なかなか出場できない時期が続き、最終学年はスカウトへあまりアピールできずに終わります。
それでも仲三河選手の潜在能力を高く評価した西武からドラフト7位指名を受け、プロ野球選手としてのスタートを切ることになりました。
努力を重ね、コンタクト力を兼ね備えたスラッガーへ成長

自慢の長打力は二軍でも発揮され、高卒2年目に二軍47試合で9本塁打を記録しました。しかし3年目以降は二軍ではなく、三軍での出場が増えてしまいます。フェニックスリーグでは3本塁打を打つ活躍を見せますが、3年目の11月に戦力外通告を受け、育成枠として再スタートを切ります。
4年目の昨年は三軍での出場がメインでしたが、9月20日のBCリーグ選抜との試合で出場した仲三河選手の打撃、体格を見て驚かされました。
フライを打ち上げる角度がどの選手よりも高く、滞空時間が長いこと。さらに180センチ100キロと、高校時代からさらに線が太くなっていました。それでも緩いところはなく、鍛え抜かれた姿を見てストイックにトレーニングを取り組んできたのが伺えました。西武首脳陣から取り組みを評価する報道が見られましたが、前向きにプレーする仲三河選手を見て納得しました。
これほどの打球を打てば、まだ三軍でも来年はチャンスがあると思いました。そして勝負の5年目は主戦場が二軍となり、わずか45試合で9本塁打と驚異的なペースで本塁打を重ねました。高校時代は丸選手に似ていましたが、現在はレッドソックスの吉田正尚選手(敦賀気比)に似た打撃フォームとなっていました。本人は上述の通り、プロの選手を真似るようなことはしないと語っていました。おそらく対応力、長打を兼ね備えた打撃をするには、自然と吉田選手のようなメカニズムになったと思います。
そして7月10日、支配下登録が決定し、即一軍も決定。楽天戦で初打席を迎え、鋭いライト前ヒット。それがタイムリーとなり、初打点を記録する上々のデビューとなりました。12日のロッテ戦ではスタメン出場を果たし、第1打席では犠牲フライで先制点を記録し、さらに第4打席は満塁のチャンスから走者一掃の適時三塁打で4打点の大活躍で、ヒーローとなりました。出場3試合で5打点と西武に足りなかった長打を打てる打者として存在感を示しています。
1年半、育成選手としてプレーし、這い上がった仲三河選手。このまま強打を発揮し、入団前、スカウトから期待されていた長距離砲として台頭することができるか。西武ファンを喜ばせる一打をこれからも披露してほしいと思います。