(12日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会1回戦 岐阜総合学園6―0海津明誠) 1930年創部。岐阜大会の準優勝経…

 (12日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会1回戦 岐阜総合学園6―0海津明誠)

 1930年創部。岐阜大会の準優勝経験もある古豪の海津明誠だが、今春は地区予選で振るわず、県大会に出られなかった。エースの渡辺隆咲(りゅうしょう)投手(3年)は「本当に悔しかった」。主将の棚橋星凪(せな)捕手(3年)と話し合った。「これじゃダメだ。チームを作り直そう」

 同じクラスで仲が良い2人は練習内容について話し合った。率先して自主練習も始め、部員たちにも参加を呼びかけた。

 だがすぐにはまとまらなかった。「あまり聞いてもらえず、下級生には厳しいことも言いました」(渡辺投手)、「指示が通らないこともあって苦しかった」(棚橋捕手)という。

 だが徐々に浸透。「夏が近づくにつれて雰囲気が良くなっていった」(渡辺投手)。勝利への意識を全員で高め、この日の初戦を迎えた。

 相手はシード校・岐阜総合学園。渡辺投手は緩急のある投球で的を絞らせず、五回まで1失点。だが不運な当たりもあり、後半に失点が重なる。ピンチで棚橋捕手が声をかけた。「点を取られてもいいから思い切って投げてこい」。渡辺投手は耐えしのぎ、大崩れせず完投した。

 大場裕介監督は「(渡辺投手は)能力が高いうえ優しく、周囲と調和が取れる。去年の夏も経験した棚橋との2人が最後まで落ち着いてやり切ってくれた」と振り返る。

 試合後、2人は同じ言葉を相手に伝えたいと言った。「苦しかったと思いますが、九回を投げ切ってくれた。感謝してます」(棚橋捕手)、「最後まで2人で笑顔でやれた。ありがとうって伝えたい。感謝の気持ちしかない」(渡辺投手)。

 バッテリーはどことなく誇らしげな表情で球場を後にした。(高原敦)