<2025年全国高等学校野球選手権東東京大会:日体大荏原5-1立正大立正>◇11日◇2回戦◇江戸川区球場 大田区の学校に…
<2025年全国高等学校野球選手権東東京大会:日体大荏原5-1立正大立正>◇11日◇2回戦◇江戸川区球場
大田区の学校による強豪対決は、息詰まる熱戦になった。その中で、勝利に大きく貢献したのが、日体大荏原の捕手・中村 逢良(3年)だった。
まず1回表一死二塁から日体大荏原の3番・中村が、センターオーバーの三塁打を放つ。「行ったかなと思いました」と中村。打った本人が本塁打かと思うほどの会心の当たりで日体大荏原は、1点を先制する。中村は4番・木村 太郎内野手(3年)の遊ゴロで生還する。結果として、この2点が大きかった。
立正大立正は2回裏、4番・岩沢 俊雄内野手(3年)、6番・國井 謙外野手(3年)の安打に、7番・本名 悠真内野手(3年)の中犠飛で1点を返す。ここから1点を巡る激しい攻防になり、熱戦となった。
しかし立正大立正は、走者を出しても、あと1本が出ない。日体大荏原の鷹野 晃貴(3年)、小林 壱真(2年)、最後はエースの佐藤 樹(3年)とつなぐ投手リレーが功を奏したことは確かだ。と同時に、捕手の中村の肩とリードの存在も見逃せない。守りに入る前の投球練習の最後に、二塁に、低く、力のある送球をする中村の肩をみれば、そうは走れない。しかも強肩を生かした素早い牽制もあり、走者は慎重にならざるを得なかった。
2-1と日体大荏原がリードして迎えた8回表、「ピッチャーのためにも、もう1点ほしい。何として出てやろう」という思いで打席に入ったこの回先頭の中村が、中前安打で出塁すると、2四死球も加わり二死満塁となる。ここで6回から登板していた8番打者の佐藤樹がレフトに二塁打を放ち、満塁の走者3人が還り、勝利をほぼ手中に収めた。
結局佐藤 樹が8回、9回を無失点に抑え、5-1で日体大荏原が勝った。8回に3点入るまでは勝利の女神がどちらに微笑むか分からない展開であった。日体大荏原の本橋 慶彦監督は、「夏の初戦は難しい」と語る。
そうした中で、捕手として活躍した中村であるが、父親は、学校は違うものの捕手であり、祖父の中村岩男氏は、日体大荏原が初めて甲子園に行った1965年のセンバツ(当時の校名は荏原)に捕手として出場している。祖父から三代続けての捕手であり、特に祖父は、学校の大先輩でもある。大先輩でもある祖父から、バッティングなどでアドバイスを受けることもあるという。日体大荏原は、夏の第1回大会から出場している伝統校で、強豪でもあるが、甲子園には65年のセンバツに出場した後、69年のセンバツと76年の夏に出場しただけだ。祖父から孫へ、甲子園行きのバトンが引き継がれるか、ラストチャンスの夏の戦いが始まった。
3回戦は昨秋4強の淑徳との対戦になる。