(12日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会1回戦 白樺学園4―2旭川実) 旭川実が3点を追う八回裏2死。一塁走者…

(12日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会1回戦 白樺学園4―2旭川実)

 旭川実が3点を追う八回裏2死。一塁走者の藤本琉生主将(3年)は、投手が3球目を投げたと同時に二塁めがけて突っ込んだ。頭から滑り込み盗塁セーフ。雄たけびをあげた。続く打者の内野安打が敵失を誘い、一気に生還。待望の得点を挙げた。

 昨夏代表の白樺学園と、春の全道準優勝の旭川実。北大会注目の1回戦は、中盤まで投手戦になった。旭川実は、白樺学園の神谷春空投手(3年)の緩急つけた投球を打ちあぐねた。

 チームは昨秋の全道大会で完封負け以来、得点力の強化に取り組んできた。振り込みに加え、足腰の粘りをつけるため、あえて雪の積もった場所でロングティーの練習を重ねた。さらに、春季大会決勝での逆転負けから、「後半の集中力」を意識して迎えた夏だった。

 この日、旭川実は磨いてきた「後半の集中力」を発揮した。八回裏に反撃を開始すると、九回裏には四球の走者を適時二塁打でかえして2点目を挙げ、追いすがった。

 「悔しくないと言えばウソになるが、最後の最後まで全力で戦えた。悔いはありません」と藤本主将。この日、3打数無安打に打ちとられた相手先発の神谷投手は、中標津中学でチームメートだった。対戦が決まり、「絶対打ってやる」とメッセージを送ると「絶対に打たれない」との返信があったという。

 試合終了時、両校は整列してあいさつ。藤本主将は神谷投手に近寄り「甲子園行けよ」と声を掛けた。神谷投手は「まかせろ」と応じた。(中沢滋人)