(12日、第107回全国高校野球選手権香川大会2回戦、四国学院大香川西5―2高松南) 「自分が抑えるしかない」 高松南…
(12日、第107回全国高校野球選手権香川大会2回戦、四国学院大香川西5―2高松南)
「自分が抑えるしかない」
高松南の西郷大翔(はると)投手(3年)は四回裏、2死二、三塁で苦しい状況に追い込まれていた。強気で投げた球だったが適時打にされ、三塁走者の生還を許した。しかし、その後に続く二塁走者の生還は味方の好返球で食い止めた。逆転までは許さず、同点でなんとか切り抜け、思わずガッツポーズが出た。
野球ができない1年を乗り越えてのマウンドだった。
昨夏の大会が終わってから、息苦しさを感じていた。病院を受診すると、肺に穴が開く「肺気胸」と診断された。手術を経て、昨秋に一度復帰したものの、再び肺に穴が開いた。医者からは安静にするよう言われ、ようやく練習に合流できたのは今年の3月だった。
「最後の大会までには絶対に戻る」
野球への熱い思いは忘れなかった。課題のひじや肩を強化する練習を重ね、この大会にはエースとしてマウンドに。そんな復活劇をそばで見守ってきた両親は「投げてくれるだけでうれしい」と話す。この日は打席でも三回に三塁打を放って逆転への流れをつくった。
試合は降板後の六回に相手に勝ち越され、敗戦となった。「めちゃくちゃ緊張したけど、みんなと野球ができて楽しかった」。最後は笑顔だった。(木野村隆宏)