(12日、第107回全国高校野球選手権青森大会1回戦 青森明の星31―0名久井農) 全国制覇、甲子園――。球児にはそれ…

 (12日、第107回全国高校野球選手権青森大会1回戦 青森明の星31―0名久井農)

 全国制覇、甲子園――。球児にはそれぞれの高校野球がある。名久井農の藤原優真選手、楢舘侑生選手(ともに3年)のそれは、少し違った。

 2人は春季大会後の5月に野球部に加わった。藤原選手は元サッカー部で、楢舘選手は軽音楽部との兼部。彼らが野球部に入ったのは「親友を試合に出させてあげたい」と思ったからだ。

 元々、名久井農の3年生は長根快人選手1人。昨秋、部員は9人を割り、秋と春の大会は連合チームに。長根選手は出場する機会が少なかった。長根選手は2人のクラスメートに「一緒に野球をしない?単独チームで出たい」と持ちかけた。

 悩んだ。だが、2人は長根選手が1年生から同学年の部員がいない中で頑張ってきたことを知っていた。最後の夏は試合に出たいという思いも。だから、誘いを受けた。

 野球未経験の楢舘選手はこの日、一塁コーチのスタートとなった。チーム初安打を長根選手が放つと、我がことのように喜んだ。五回裏2死、代打で打席に立った。「何を打ったのかは分からない」が、右安打に。

 左翼を守った藤原選手は五回裏2死一塁で打席が回ってきた。結果は遊邪飛で最後の打者になり、涙が出た。「練習の成果が出せなかった」

 長根選手から「感謝しかないです」とねぎらわれた藤原選手と楢舘選手も目標を達成でき、「喜びがあります」と語った。試合は大差で負けたが、彼らの高校野球はここにあった。(小田邦彦)