(12日、第107回全国高校野球選手権広島大会2回戦 広島工7―2福山工) 期待を背負っても、緊張はしない。 広島工の…

 (12日、第107回全国高校野球選手権広島大会2回戦 広島工7―2福山工)

 期待を背負っても、緊張はしない。

 広島工のエース・有井朔永(さくと)投手(3年)は、昨夏の大会直前にベンチ入りメンバーから外れた。「まだそこまで力がなくて、いい結果が出ていなかった」と前田哲志監督。悔しかったが、誰よりも練習を頑張ろうと気持ちに火がついた。

 前田監督と相談して、フォームをオーバースローからサイドスローに変えた。格好いいフォームで投げたいとためらったが、勝つためには必要だと練習を重ねた。制球が定まり、ストライクが決まるようになると、新チームで背番号1を勝ち取った。

 広島工は甲子園出場経験のある実力校で、卒業生には広島カープの新井貴浩監督もいる。有井投手は絶対にチームを勝たせたいと、スクワットやベンチプレスの重量を増やした。ひと冬で体重は6キロ増え、球速も10キロ上がった。

 この日の福山工との試合は被安打1、奪三振7で完投。4番打者も任され、長短打2本で1打点と役割を果たした。

 「この夏は彼に期待している」と前田監督は話す。だが、プレッシャーはない。

 有井投手は「一番頑張ってきて、自信がついたから」と理由を語り、「一戦一戦、暑さに負けずに淡々と投げたい」と次戦を見据えた。(遠藤花)