(12日、第107回全国高校野球選手権茨城大会2回戦、鉾田一1―8水城=8回コールド) 憧れて、背中を追い続けた3歳上…

 (12日、第107回全国高校野球選手権茨城大会2回戦、鉾田一1―8水城=8回コールド)

 憧れて、背中を追い続けた3歳上の兄から託された帽子とユニホームに身を包み、先発した鉾田一の背番号1・菅井飛翼(つばさ)(3年)は、マウンド上で粘り強く投げ続けた。

 五回までに6点差をつけられたが、得意のスライダーを交えた打たせる投球で、六回は水城打線を三者凡退、七回は2死から安打を許したものの次打者は三振に抑えた。「エースとして仲間を引っ張っていく」。そう胸に思いを秘めていた。

 野球は、兄・友稀さん(20)の影響で始めた。その兄は3年前の夏、同じ鉾田一で背番号1を背負い、夏の茨城大会に挑んだ。だが調子が悪く、先発としてマウンドに上がる機会はなかった。

 友稀さんが卒業した春、入れ違いで同校に入学、入部した菅井は「俺の分も頑張ってくれ」と、帽子とユニホームを託された。

 身長は友稀さんの方が4センチ高く、ユニホームは少しだけ大きかった。帽子は日焼けして色あせていた。

 だが「色々な思いがこもっていて、それが良かった」。兄が果たせなかったエースの役割を担うと願い続けた。

 始まった3年最後の夏。初戦は強豪・水戸一が相手だったが、先発して6回を投げ、1失点の好投をみせた。

 水城戦も序盤の2イニングを無失点に抑え、チームが先取する流れをつくれた。

 ただ、シードの壁は厚かった。八回裏、連続二塁打を浴びて1点を失い、コールド負け。最後の球は、得意とするスライダーだった。

 試合後、悔いが残った。「九回まで試合を持たせたかった」。でも、「兄に誓った思いは果たせた。胸を張って頑張ったって言えます」。手に握る色あせた帽子が、ひときわ輝いて見えた。(古庄暢)