(12日、第107回全国高校野球選手権東東京大会、日比谷8―7富士) 九回裏。同点に追いつき、なお1死満塁。日比谷の井上…
(12日、第107回全国高校野球選手権東東京大会、日比谷8―7富士)
九回裏。同点に追いつき、なお1死満塁。日比谷の井上悠人(1年)はいつものように短く持ったバットに力を込めた。
「つないでくれたチャンス。自信を持ってスイングを決めよう」。3球目、狙い球の内角高めの球を振り抜くと、左前適時打に。でも、無我夢中で走っていたから、歓声も聞こえない。
一塁を回ったところで笑顔で先輩が駆け寄ってきたのを見て、ようやくサヨナラ勝ちしたことに気づいた。
自分でも不思議なくらい、「絶対に打てる時がある」。それが、今日だった。七回には中前安打を放ち、その思いは強くなった。
けがで途中交代した先輩のためにも、ここで負けるわけにはいかない――。殊勲打の背番号19は、「次も一球一球全力で。1試合でも長く、先輩たちと野球がしたい」と笑顔を見せた。
チームはリードされても粘って追いつき、劇的な逆転勝利を呼び込んだ。福永大貴監督は「この子たちは最後に何かを起こしてくれるんじゃないか、と。よく粘って抑えていたから、チャンスが転がってきた」とたたえた。=Gタウン(野田枝里子)