(12日、第107回全国高校野球選手権熊本大会2回戦 専大熊本8―1済々黌=7回コールド) 6点先行され、迎えた七回表…

 (12日、第107回全国高校野球選手権熊本大会2回戦 専大熊本8―1済々黌=7回コールド)

 6点先行され、迎えた七回表の攻撃。済々黌は先頭打者が安打で出塁し、5番で捕手の橋本青依(あおい)選手(3年)が打席へ。「必ず、つなげる」。思いを込めて4球目をたたくと、三遊間を抜ける安打になった。

 相手の専大熊本には昨秋、県大会の準決勝で0―7で敗退。悔しさを胸にチームは練習を重ねてきたが、この日も劣勢に。自身も前の2打席は凡退で、このままでは終われなかった。

 「どんな球だったか、覚えていない。無我夢中」で安打を放つと、続く志賀友彰選手(3年)の適時打で待望の1点が入った。そろいの黄色いシャツでうまった応援席がわくのを塁上から見上げた。

 「勝負強く、攻守のカギを握る中心選手」と荒巻智弘監督。この日は捕手として、3投手をひっぱった。「甘い球は許されない」。相手の強力打線を抑えようと、コーナーをつく投球を求めたが、四死球が序盤の失点につながった。

 それでも下を向かなかった。安打や得点を許しても「打ち取ってるぞ!」「次に行こう」。仲間を鼓舞し続けた。

 「もっとほかのリードができたかもしれない」。試合後、自らの配球を悔やんだが、仲間の頑張りはしっかりとたたえた。「最後まで決して諦めずに戦った」(伊藤隆太郎)