(12日、第107回全国高校野球選手権千葉大会2回戦 市船橋9―4光英VERITAS) 「完璧だ」。思い切り振ったバット…
(12日、第107回全国高校野球選手権千葉大会2回戦 市船橋9―4光英VERITAS)
「完璧だ」。思い切り振ったバットが、外角寄りの直球を芯で捉えた。
6点を追う九回裏2死一塁、光英VERITASの主将で捕手の森川嵩広(3年)の打球は左中間に飛び、一塁走者が生還。森川は二塁上で拳を突き上げ、ほえた。バットに部員103人の思いが乗った瞬間だった。
3年生は23人。誰一人欠けずにここまでやってきた。主将として意識していたのはとにかく前向きな言葉をかけ、明るい雰囲気を作ることだ。
五回表、市船橋の花嶋大和(同)に本塁打を放たれた直後、森川はマウンドに駆け寄り、エース・針谷颯太(同)に声をかけた。「相手が強いのはわかっている。臆せずもう開き直って思いきりぶつかっていこう」
ジリジリと点を奪われる展開の中、何度もマウンドに駆け寄り、投手に言葉をかけ続けた。
市船橋は、昨秋の県大会予選でコールド負けを喫した相手だった。「もうあの屈辱は味わいたくない」。夏の組み合わせが決まってからこの日の1戦のために駆け抜けてきた。しかし、雪辱は果たせなかった。
負けたことは悔しい。それでも最後まで諦めずに点を入れ、自分たちの野球ができた。「すばらしい仲間と野球ができて幸せでした」
=ぴーちゃん(芹沢みなほ)