(第107回全国高校野球選手権三重大会 津田学園3―2白山) 勝利まであとアウト一つだった。1点リードで迎えた九回裏2…
(第107回全国高校野球選手権三重大会 津田学園3―2白山)
勝利まであとアウト一つだった。1点リードで迎えた九回裏2死二塁、白山の高橋憂成投手(3年)が、津田学園の伊藤璃空選手(3年)に投じた直球は甘く入った。左前適時打となり、同点に追いつかれた。
今大会の優勝候補に挙げられるシード校を相手に、緩急をつけた投球で九回途中までで9奪三振、1失点と好投したが、勝利を目前に「気持ちが高鳴っていた」。その力みが投球に影響したと思う。
焦りも生じた。次打者に投じたスライダーも打たれ、白球は再び左翼へ転がった。サヨナラ負けが決まると、天を仰いで唇をかんだ。
2018年夏の甲子園に出場し「下克上」旋風を巻き起こした白山。2度目の下克上はならなかったが、選手たちの奮闘ぶりに池山桂太監督は「120%の力を出し切った。最後は相手の意地が上回っただけだ」とたたえた。
「悔いはない。最後に津田学園と戦えたのがうれしい」。そう語る高橋投手の表情は穏やかだった。(鎌形祐花)