(11日、第107回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 小山西5―2宇都宮東) 宇都宮東で唯一の3年生・小林海斗が試合終盤…

(11日、第107回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 小山西5―2宇都宮東)

 宇都宮東で唯一の3年生・小林海斗が試合終盤に主将の意地を示す激走を見せた。

 4点を追う八回、小林は持ち味の快足をいかして二盗。半田龍之介(2年)の左前打で一気に本塁を陥れ、反撃ムードを盛り上げた。「後輩たちがつないでくれてうれしかった。3年間の頑張りが報われた」と喜んだ。

 同校の選手は1年10人、2年3人。3年は1月に同級生が離脱して小林だけになり、主将も担うことになった。

 ひとりになって「苦しい場面もあったが、後輩たちが不安にならないように、自分が引っ張っていくぞという気持ちを強く持った」という。

 中田憲一監督は「能力だけなら1、2年生のほうがいい」ときっぱり。だが「ひとりはしんどいと思うが、それを口に出さず、練習も休まずに頑張ってきた海斗には頭が下がる。頑張りに期待して試合で使った」。その信頼に、見事に応えた。

 適時打を放った半田は「言うことを聞かなかったり、迷惑をかけたり、頼りない後輩だったが、チームを引っ張ってもらった。頼りになる主将だった」。1年生で先発投手と4番を務めた塚原慎も「チームを優先して考えてくれる最高の3年生」と感謝の気持ちを述べた。

 宇都宮東は1973年の栃木大会で決勝に進出し、江川卓氏を擁する作新学院に敗れた。その直後は40人以上の部員がいたという。

 昨年、宇都宮東出身で小山を指導者として甲子園に導いた中田氏が母校の監督になり、入部者が増えた。1、2年生は「来年は勝って校歌を」と口をそろえる。苦難の時代をつないだ小林の努力は、後輩の世代で花開くはずだ。(津布楽洋一)