マリナーズ傘下の球団でメジャー昇格を模索し続けた藤浪。(C)Getty Images かつての“至宝”はどこへ行くのか。…

マリナーズ傘下の球団でメジャー昇格を模索し続けた藤浪。(C)Getty Images

 かつての“至宝”はどこへ行くのか。元阪神の剛腕、藤浪晋太郎の去就が日本球界をざわつかせている。

 米球界3年目となった今季、メッツからFAとなっていた藤浪は、マリナーズとマイナー契約を締結。招待選手として春季キャンプに参加するも、メジャー昇格という狭き門は潜り抜けられず。開幕を3Aタコマで迎えていたが、メジャーリーグの勢力図は固まりつつあった6月17日に自由契約の憂き目にあった。

【動画】米マイナーで見せた奪三振シーン! 藤浪晋太郎のロマン投球を見る

 その後は大物代理人であるスコット・ボラス氏とともに米球団を中心に契約先を模索。本人が強いこだわりを持っていたメジャーでのプレーの可能性を探っていたが、昨年日本一となったDeNAが、クライマックスシリーズも見込んだ「ラストピース」としての獲得準備を進めているとも報じられている。

 190センチを超える高身長から繰り出される160キロ超の角度あるフォーシームに加え、カットボール、スライダー、フォークと多彩な変化球も持つ藤浪。パワーアームとしてのポテンシャルは高く、米球界でも3年に及んだキャリアで確かに発揮されていた。

 藤浪の剛腕ぶりは何よりも数字が示している。今季のマイナーでの奪三振率は、驚異の11.57。さらに被打率も.174と打ち込まれている感はない。メジャーという檜舞台でないにせよ、ショートイニングで相手を圧倒するだけの力は有していると言えよう。

 一方で弱点は明確だ。それは渡米前の阪神時代から露呈してきた制球難である。今季のマイナーでも、高い奪三振力とは裏腹に、コントロールを乱して“自滅”する場面はあった。それは12.54という高すぎる与四球率が如実に物語ってもいる。

 文字通り打者をねじ伏せる投球は魅力ではあるものの、安定感を欠いた途端、一気に崩れて大量失点に繋がる。その課題を克服しきれていない感が否めない藤浪については、米メディアも厳しく指摘している。米老舗誌『Sports Illustrated』は「フジナミは電撃的なボールを武器に、今季も計18.2イニングで24個の三振を奪ったが、その一方で26個の四球を出し、制球力に懸念は拭いきれていない」と論じている。

 球界屈指の球威が“諸刃の剣”にもなる藤浪。そんな日本を代表する“ロマン腕”が新天地とするのは、本当に戦力拡充に奔走する横浜となるのか。それとも――。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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