(11日、第107回全国高校野球選手権石川大会開会式) 石川大会が11日、幕を開けた。開会式では参加43チーム(43校…

 (11日、第107回全国高校野球選手権石川大会開会式)

 石川大会が11日、幕を開けた。開会式では参加43チーム(43校)が行進し、県立野球場は大きな拍手に包まれた。日程が順調に進めば、決勝は27日午前9時から同球場である。

 選手宣誓は、昨年の能登半島地震や奥能登豪雨で大きな被害のあった輪島市の門前、大豊瑠侍(りゅうじ)主将(3年)が務めた。「(地震で)野球どころではない日々が続き、さらに追い打ちをかけるような、9月の豪雨災害。心が折れそうになりました」と当時を振り返った。

 それでも「地域の方々の支えがあって、ここまでこられた」という。門前の野球場で練習試合があれば、いつも住民が駆けつけて、応援してくれた。「私たちを見守り、温かく声をかけてくれる地域の皆さんの存在が、私たちの心の支えでした。この町のために、もう一度笑顔を届けたい、そう強く思いました」と語った。

 「全員の思いを背負って、絶対に優勝して甲子園に行きたい」。最後は力強く、こう宣言した。「最高の時間を最高の仲間と最高の笑顔で、この夏を全力で戦うことを誓います」(砂山風磨)

■選手宣誓の全文

 宣誓。

 2年3カ月前、私たち3年生は、高校野球の扉を開きました。甲子園を目指し、仲間とともに日々の練習に励んできました。

 しかし令和6年元日、能登半島地震が発生。周りを見ると、倒壊した家屋、ひび割れた道路、津波で襲われた町、悲惨な光景が広がり、野球どころではない日々が続き、さらに追い打ちをかけるような、9月の豪雨災害。心が折れそうになりましたが、私たちは諦めませんでした。たくさんの方々から「頑張れ」「応援しているよ」、この言葉にどれほど励まされたか分かりません。

 私たちを見守り、温かく声をかけてくれる地域の皆さんの存在が、私たちの心の支えでした。この町のために、もう一度笑顔を届けたい、そう強く思いました。

 石川県は強い。能登は負けない。高校球児は諦めない。心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。

 私たちにできる恩返し、それは全力プレーで、諦めない姿を皆さんに見ていただき、笑顔と感動を贈ること。ここにいる石川の高校球児全員で約束します。

 最高の時間を最高の仲間と最高の笑顔で、この夏を全力で戦うことを誓います。

 令和7年7月11日。

 門前高校野球部主将、大豊瑠侍。(砂山風磨)