<全国高校野球選手権鹿児島大会:錦江湾8-5沖永良部>◇10日◇1回戦◇平和リース球場 昨夏は鹿児島商に0―10、無安打…

<全国高校野球選手権鹿児島大会:錦江湾8-5沖永良部>◇10日◇1回戦◇平和リース球場

 昨夏は鹿児島商に0―10、無安打で5回コールド負け、昨秋は樟南に0―9で7回コールド負け、今春は鹿屋中央に0―10で5回コールド負け…この1年間、勝利はおろか、9回まで試合をすることも、まともに安打することもできなかった沖永良部が、最後の夏に輝きを放った。

 序盤はピンチの連続。初回は二死満塁、二回は一死二三塁…大量失点を喫してもおかしくない場面が続いたが「エース東(大介・3年)がよく抑えてくれて、テンポ良く守れていた」(冨岡壮真主将・3年)。攻撃ではなかなか打てず、走塁ミスも相次ぎ、なかなか得点できない。それでも「終盤必ず打てるようになる!」と深田信平監督はナインを励まし続けた。

 5回裏、2点ビハインドで雨が激しくなり1時間半の中断があった。この日のうちにやり切るか、継続試合になるか、気持ちが揺れ動いてもおかしくない時間帯だったが「必ず再開されると信じて、気持ちが切れていなかった」(冨岡主将)。

 中断明けの方が俄然野球が良くなった。東を中心にした好守でリズムを作り、7回に2点差を同点に追いつくことができた。だが、8回に粘りの投球を続けていた東が150球を超え、制球を乱し痛打された。2番手・武諒太(3年)も制球が定まらず、5点を奪われた。あと2失点でコールド負けというところで、冨岡主将が3番手でマウンドに上がる。「当番は久しぶりだった」が「心の準備はできていた」と2者連続三振。9回は2点を返して、最後の意地を見せた。

 「あの敗戦があったから、僕らは必死で練習しました」と冨岡主将は言う。鹿児島商、樟南、鹿屋中央と甲子園経験のある強豪校に全く歯が立たなかったが、その悔しさをバネに練習を重ね、3年生を中心にミーティングを重ね、居残り練習もこなしてきた。その成果は、5得点と9回まで粘れたことが物語っていた。