(11日、山形大会1回戦 山形東7―4新庄北) はじけんばかりの笑顔、という言葉は、新庄北の高橋楓(かえで)選手(3年…
(11日、山形大会1回戦 山形東7―4新庄北)
はじけんばかりの笑顔、という言葉は、新庄北の高橋楓(かえで)選手(3年)にふさわしい。しかも、その笑顔は自分より、仲間のために振りまく。
試合中は笑みを絶やさない。一塁の守備ではアウトを取るたび、まるで勝利投手のように右手を突き上げて喜ぶ。仲間の好プレーには、白い歯を見せて拍手を送る。
「笑顔でみんなをもり立てると、雰囲気が良くなって、流れもつくれるんです」
山形東との初戦で、最も笑顔がはじけたのは六回だった。1点を追加し、無死一、三塁で打席へ。走者をかえすため、芯に当てて遠くに飛ばす打撃を何度も練習してきた。高めの直球を捉え、センターへの犠牲フライに。追加点をもぎとり、生還した仲間を輝くような笑顔で迎え入れた。
新庄北は創立125年の伝統校。1955年と59年には夏の甲子園に出場した古豪だ。だが、来年度は新庄南と統合して「新庄志誠館」となる。この大会が最後の夏となった。
有終の美を飾ることはできなかったが、九回に2得点して同点に持ち込む粘りを見せ、スタンドから惜しみない拍手が送られた。
「明るさが、新庄北の良さです。これからも受け継いでいってほしい」。ほほ笑んで後輩たちに託した。(渡部耕平)