(11日、第107回全国高校野球選手権東東京大会2回戦、独協6―2三田) この仲間たちと夏を戦いたい――。11人で大会に…
(11日、第107回全国高校野球選手権東東京大会2回戦、独協6―2三田)
この仲間たちと夏を戦いたい――。11人で大会に臨んだ三田は初戦で敗れたものの、躍動した。
昨秋と今春は連合チームだったが、今夏は単独での参加にこぎつけた。チームの目標は、「勝ちを目指す中で野球を楽しむ」。その言葉通りの試合になった。
一回、エースで主将の勝連(かつれん)友哉(3年)が立ち上がりを攻められ、4点を奪われる苦しい展開に。それでも選手たちは「逆転するぞ」「1点取るぞ」と、ベンチで声を上げ続けた。声援を背に持ち直し、緩急をつけた投球で10個の三振を奪った。
打線も応えた。6点を追う六回、4番の末松一太(同)が「負けるわけにはいかない」と放った打球は左翼席へ。公式戦で人生初という本塁打で2点を返し、喜びを爆発させた。
とりわけ特別な思いでグラウンドに立っていたのは、左翼手の本間匠(同)だ。4月の練習試合で右足の靱帯を断裂した。手術後のリハビリを経て復帰したのは6月。それでも夏への気持ちを切らさず、背番号7で出場した。
野球を始めたのは高校から。最初はキャッチボールもうまくできなかったが、必死で練習にくらいついた。「やるからには最後まで続ける」と決め、実行してきた。
積み重ねた練習が五回、形になった。公式戦3本目というヒットで出塁すると、ベンチから「本間、ナイス!」と声が飛んだ。「最後に打てて、うれしかった。みんなで野球を続けられたことも」
試合前のシートノックはマネジャーの酒井草子(かやこ)さん(3年)が務めた。小中学校で野球をしていた経験を買われた。「みんなで出られて感謝しかありません」。やめようとする選手を説得するなど、いっぱい悩んできた。
今年就任した大野豊司(あつし)監督は試合後、選手たちをたたえた。「色んな困難を乗り越えて、成長してくれた」=駒沢(石平道典)